(3 ページから続く) TNF-α 脂肪組織自体と脂肪組織に浸潤したマクロファージという白血球から分泌される、インスリン抵抗性の原因になる悪玉物質です。脂肪組織から
分泌されるMCP-1という物質がマクロファージを呼び寄せ、炎症を起こし、白血球からのTNF-αの分泌が増加します。
メタボ関連の他の疾患
最終的には心臓や脳の血管が詰まることが問題ですが、肥満には多くの病気が合併します。代表的なものを列挙します。痛風・高尿酸血症 足の親指の付け根やくるぶしなどに、突然関節炎を起こす病気です。針状の尿酸結晶が関節内でつき刺さります。痛みが強く歩けないほどです。肉や豆などタンパク質の食べ過ぎが原因です。 睡眠時無呼吸症候群 寝ている間に呼吸をサボり、止まってしまう病気です。睡眠不足で日中集中力を欠いたり、朝から倦怠感を覚えます。ノドや舌の筋肉が弛み、寝ている間にノドをふさいでしまうことが無呼吸の原因です。肥満者では、脂肪が皮下や内臓につくほか、ノド
や鼻の粘膜の下にも溜まり、空気の通り道が狭くなって無呼吸を起こします。このため肥満解消により呼吸も楽になります。寝ている間に息が止まっているよと奥さんにいわれた方は、無呼吸の治療が必要なくても、減量をしてください。非アルコール性脂肪肝炎(NASH)お酒を飲まないのに、肥満だけで肝臓に脂肪が溜まりすぎ、肝炎にいたる病気です。脂肪肝の重症型です。異常なほど太った人の多いアメリカではよく見られ、肝硬変や肝ガンへ進むこともあるといわれています。日本では今のところほとんど見られませんが、肥満が増加傾向なので、今後要注意です。
LDL・HDL-コレステロール 善玉・悪玉の理由 前者は、悪玉、後者は善玉コレステロールとして知られ、特定健診の必須項目となりました。LDLはコレステロールを肝臓から血管壁へ運び、壁の内側に塗り込めてきます。これにより、動脈硬化が進み、血管の内径が狭くなります。HDLは血管壁にこびり付いたコレステロールを剥がして肝臓へと戻し、動脈硬化を予防します。