メタボは病気?

 メタボリックシンドロームと診断されても、肥満、軽い高血糖、軽い高脂血症、高血圧傾向だけでは、治療が必要な病気と言えません。高脂血症以外は病名がつく以前の数値だからです。虚血性心疾患や、脳卒中などを既に併発している場合は早めに治療が必要な場合もありますが、まずは生活習慣の見直しを行い、治療をしなくてはならない段階に入るのを未然に防ぐことが大切です。ダイエットと運動でやせましょうということです。
 これまで肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症を、バラバラな動脈硬化の因子として各専門家が縄張り争いを

繰り広げてきました。しかし実際は、これらを複数持っている方が多く、できるだけ複合的に動脈硬化の原因をとらえ、まとめて退治していくことになりました。呉越同舟です。
 血圧
132/86mmHg 、空腹時血糖104mg/dl、HDL-コレステロール36mg/dlなどは、どれも病気といえる異常値ではないため放置されていました。しかし、これからは通じません。知らず知らずのうちに動脈硬化が進み気がついたときには心筋梗塞、脳卒中になるため、メタボの方は生活習慣の見直しから予防を始めましょう。






メタボ関連のキーワード

1)インスリン抵抗性
 インスリンは膵臓で作られるホルモンです。食事をして血糖値が上がると、膵臓が刺激されインスリン分泌が活発となります。筋肉の細胞などで血糖が利用されるとき、インスリンが働き血糖は細胞内へ取り込まれ、エネルギーとして燃やされます。せっかく分泌されたインスリンですが、体の細胞にうまく働きかけることができないと、血糖は細胞内に取り込まれず、血中にだぶつきます。これをインスリン抵抗性があるといいます。この状態では、血液中にインスリンが十分あるのに血糖値が下がりません。インスリン抵抗性を見るには糖負荷試験ほか複雑な検査が必要ですが、簡便なのは空腹時の血糖とインスリン値(IRI)をはかり、その比から求めるHOMA-Rです。

HOMA=IRI(μU/ml)x空腹時血糖(mg/dl)/405

正常は1.6以下、2.5以上はインスリン抵抗性ありです。

2)アディポカイン
 体内の脂肪組織は単に栄養物の貯蔵庫と考えられてきました。ところが近年脂肪組織から様々なタンパク質が分泌され、その分泌のバランスが崩れるとメタボリックシンドロームに合併する動脈硬化の原因になることがわかりました。代表的なものをまとめます。
アディポネクチン
 インスリン抵抗性を改善し動脈硬化を予防する善玉物質です。肥満や内臓脂肪が蓄積するとこの分泌が低下します。
レプチン
 脂肪組織が増加すると分泌量が増し、食欲を低下させたりエネルギー消費を増加させ、肥満のブレーキとして働きます。メタボリックシンドロームでは、通常このレプチン量も増加しています。しかし増えたレプチンの効果が上がらず食欲は低下しません。肥満によって、レプチン抵抗性ともいうべき、レプチンの機能不全が起こっていると考えられています。

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