すこやか生活

臓器不全

 肝心要(肝腎要?)と言いますか、体の中には生命を維持するためにどうしても無くてはならない臓器があります。これら、最も重要な臓器の機能が充分働かないと、人は一巻の終わりです。数ある臓器のうちで、代替えが効かない臓器の代表が、心臓、肺、腎臓、肝臓です。もちろん、脳も大切ですが、仮に大きなダメージを受けても、上記の4つの臓器が充分働いていれば脳死状態ではありますが、人は生きていけます。(生きる意味があるのかはさておき。) 機能不全の原因は様々で、臓器によっても異なり、症状も多彩です。今回は、これらの主な臓器の機能にスポット

を当てて、臓器不全の一般的な考え方を整理しておきます。
 なお、臓器不全には、急激に臓器が壊れてしまう急性臓器不全と、慢性疾患に蝕まれ徐々に機能が失われていく慢性臓器不全があります。急性の臓器不全は始まったら止めようの無いことが多いのですが、慢性疾患は治療をきちんとしておけば、機能不全に至らないで済む場合もあります。重要な臓器の慢性疾患をお持ちの方は、現時点で症状がないからと言って、軽く考えないで下さい。そして、機能が悪化しないよう、最大限の注意を払っていきましょう。






心不全

 言わずとしれた血液を全身に巡らす動力源となるポンプが心臓です。このポンプが機能せず、全身に充分血液を運べなくなるのが心不全です。血液は、赤血球が酸素を運び、液体部分には糖分やタンパク質、脂肪からビタミンまでの栄養が溶けています。また、体中の老廃物もいったん血液に入り、腎臓、肝臓へ運ばれて解毒され、二酸化炭素は肺へ帰ってきて排出されます。血液中の白血球は雑菌やウイルスなどの外敵に食いついたり、免疫グロブリンなどの免疫物質を生産し、全身のいたる所を守っています。これら体内の物流のほとんどが、心臓のポンプ機能に頼っています。このように本当に多くの物質のやり取りや免疫反応が血液を介して行われているので、このルートが渋滞すると体の維持が困難になります。

 さて、このライフラインの動力となる心臓ポンプが機能不全になると、真っ先に出てくる症状が、息切れとむくみです。
息切れ---全身の細胞が酸欠気味になるため、それを補おうとして、呼吸が深く回数が多くなります。(息が荒くなる)最近階段を登ると途中で休みたくなる、坂道を一気に上れなくなったなどというのがこれです。ポンプが充分機能せず、一回で押し出す血液量が減ったなら、心臓も肺同様頑張って、回数を増し、拍出量を補います。このため心拍数が増加します。これを動悸として自覚します。

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