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を上げたり血流量を調節しています。そして、その外側(外膜)には弾力性のあるタンパク質の糸状の繊維で包まれ、高圧にも耐えられるようになっています。静脈も基本的には同じですが、血流は流れるにまかせるため、積極的に血流量を調節する必要がなく平滑筋はごくまばらです。そして動脈より薄っぺらいクッション性を持つ線維で包まれています。圧が低いのに、足の先から心臓まで重力に逆行して戻ってこないとならないため、ところどころ逆流性防止の弁が付い

ています。毛細血管は内皮の外側に平滑筋が無いのが特徴で、内皮細胞の外側に薄い膜や少量の支えとなる細胞があるだけです。


動脈の病気

 ここでは、脳や心臓の動脈硬化性の病気以外の純粋な血管病変を取り上げます。
@大動脈瘤
 大動脈は心臓から出て、主な臓器や手足へ分岐する前の太い動脈を指します。横隔膜から頭の方側を胸部大動脈、下を腹部大動脈と呼びます。
解離性大動脈瘤
 主に胸部大動脈瘤の中膜(血管の図を参照)が裂けて、そこに血液が溜まったり、血管のバイパスができたりする病気です。裂けたところに空間ができるのでレントゲンやCTで大動脈が大きく膨れあがって見えます。高血圧や動脈硬化の他、先天的に血管の中膜部分が弱いマルファン症候群、外傷によるもの、梅毒や特殊な血管炎が原因です。動脈が裂けると、動脈から枝分かれした血管への血流が途絶え、血流障害を起こします。たとえば脳へ行く血管が途絶えるとマヒ

を起こしたり、手に行く血管が障害されると手が冷たくなるだけでなく紫色になり腐ってきたりします。腎臓へつながる血管がやられると腎不全になることもあります。腸へゆく血管が閉ざされると強い腹痛が起こり、やがて腸が死んでしまいます。また、突然血管が破れ大出血を起こし即死することもあります。裂けるとき尋常ではない胸の痛みが起こることが特徴です。聴診器で聞くと裂けたところのバイパスを流れる血流の音がしたり、左右の血圧の高さが違ったりして発見されることもありますが、大概はレントゲンやCTで診断されます。
(治療)血圧が高いと裂けたり破れやすくなるので速やかに血圧を下げるような薬を使います。そして、大至急手術をして弱くなっている血管を人工血管に取り替えます。

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血管の基礎知識
動脈の病気
毛細血管の拡張(紅斑)と出血(紫斑)
 
静脈瘤