ネコひっかき病
すごい名前の病気ですが、ネコに引っかかれてから1〜3週間後に傷口に関係する近くのリンパ節が腫れて痛む病気です。微熱、だるさ、吐き気、食欲不振などを伴うことがあります。このような普通のパターンならあまり重症ではありませんが、菌が全身に広がり脳症や原因不明の熱が出たり、肝膿瘍や肝肉芽腫などを作るなど、大きな問題を起こすこともあります。 原因は我が国の飼いネコの10%強の血液に寄生してると言われるバルトネラ・ヘンセレ菌の感染と言われています。この菌は、ネコだけなくイヌにも感染
していることがありますが、気ままなネコは人を傷つける機会が多く感染頻度が高いためネコひっかき病という俗名がついています。 原因不明の発熱とリンパ節の腫れがあり、ネコとの接触がある方はこんな病気もあったんだなと思い出してください。 比較的軽い病気ですが、抗生物質を使うと治りが早いので、クラリスやジスロマック、ミノマイシンなどが使われます。 予防には、ネコやイヌとの接触機会を減らすこと、引っかかれたときはよく水で洗い流し、消毒しておくことが大切です。
トキソプラズマ症
トキソプラズマはネコ科の動物の寄生虫です。そのエサになるネズミやブタ、羊の筋肉にいる寄生虫の嚢子(卵のような物)を生食したり、ネコの糞が人の口に入って感染します。 一般に健康な人に感染しても無症状で治療の必要はありませんが、体の中に嚢子の状態で潜んでいるのでエイズや癌などで免疫力が弱ってくると暴れだし、髄膜脳炎、心筋炎、肺炎などを起こします。また、妊娠の2ヶ月〜妊娠中に初めて感染すると、胎盤を通過して胎児に感染し先天性トキソプラズマ症を起こします。これは、目の障害(脈絡膜炎)、髄膜脳炎、精神運動障害(知能障害、てんかん、マヒなど)、水頭症の原因となり、流産、死産を起こしたり、障害児となって生まれるため油断ができません。
妊婦の方は、できるだけネコとの接触を避け、ネコの糞が混ざっている可能性高い時やネコのトイレ掃除の場合はゴム手袋をしたり、後でよく手を洗いましょう。他の健康な人に替わってもらうのもよい考えです。また、生肉が接触した包丁やまな板はよく洗い、調理するときは肉によく火を通しましょう。ネコには生肉や生のキャットフードを食べさせないようにしてドライフードをやりましょう。そして、ネズミを捕って食べるなど外で悪さをしてこないよう、なるべく外に出さないで下さい。ちょっとネコがかわいそうではありますが……。 なお、妊婦で感染が疑われた場合は駆虫薬で治療することが可能です。