過労はどの程度のリスクになるのか?

1)長時間労働
 1日11時間労働(月の残業が60時間に相当)の男性労働者は7〜9時間の労働者に比べ急性心筋梗塞のリスクが2.44倍です。また、週60時間以上の長時間労働は脳卒中のリスクを高めていると報告されています。
2)短時間睡眠
 長時間労働と重なりますが、睡眠時間6時間を境にして、それ以下だと狭心症や心筋梗塞にかかったことのある人が増加します。睡眠時間が4時間以下の人は、7時間睡眠の人に比べると2.8倍虚血性心疾患や脳卒中になるリスクが高いと言われています。仮にナポレオンがロシアとの戦争に勝っていても過労死したに違いないというわけです。一般に睡眠不足は交感神経による反応が強く出て、血圧が急に上がったり血管が収縮したりするため、過労死の遠因になります。
3)不規則な勤務
 夜勤など、睡眠--覚醒のリズムに影響する勤務をすると脳・心の発作を起こすリスクが1.2-1.5倍になると言われています。また、時差の大きな海外出張などもリスクが高いと考えられています。

4)作業環境
 仕事場の温度が10℃低下すると虚血性心疾患の発作が13%、再発作が26%増加することが明らかにされています。また80dB以上のうるさい環境では血圧が上がり、虚血性心疾患のリスクも増えます。
5)仕事のストレスの評価
 精神的な緊張を起こす原因は仕事量、ノルマ、人間関係など様々なものがあり評価が困難です。ストレスの評価をわかりやすくするために図のような関係がよく用いられています。横方向が仕事の量や早さ、仕事の緊張度の強さなど要求される仕事のきつさを示します。縦方向が仕事のやりくりや物事の決定など裁量の大きさで、自分で仕事のコントロールができるかどうかです。つまり忙しさに加え自分ではどうすることもできない仕事をやらされる時が精神的緊張が高く病気になりやすいときです。なお、上司や同僚のサポートがあるとストレスが軽減することも知られています。職場のストレスが高く(図の右下)、サポートが得られない現場の労働者は虚血性心疾患の死亡率が高く、その他の人と比較して7歳早く心臓病の兆候が出ると言われています。






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