|
|
|
|
|
|
「胸が痛い。」そう感じたら、まず心臓の病気を連想される方が多いと思います。もし胸痛の原因が心臓ですと、狭心症、心筋梗塞、解離性大動脈瘤など致命的な病気が考えられ大変です。しかしみんながみんなそんな重病に取りつかれているわけではありません。胸といっても心臓の他に、肺、食道などの臓器があります。そこで最近増えてきた食道から来る痛みを紹介しましょう。食道は、口から胃に至るまでの食べ物の通り道です。通常、胃と食道の境には弁の働きをする括約筋があるため、一度胃に入ったものは食道に戻ることはありません。ところがこの括約筋がゆるんでいると、胃の中のものが食道に逆流してきます。ゲップのよく出る方は逆流しやすいといえましょう。胃の粘膜は塩酸からなる胃液に比較的強くできています。しかし食道は、括約筋の弁に守られているため、一般に塩酸にさらされることはまれです。ところが食道裂孔ヘルニアという括約筋のゆるんだ状態では、胃の中のものはすぐ食道に戻ります。横になったりゲップが出たときなどに胃液がもどってくると、酸に弱い食道粘膜はひとたまりもありません。みぞおちから、胸板のあたりにかけての痛み、胸やけが特徴的です。逆
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
流の勢いが強い方は口まで酸が戻ってきて、"のどが詰まる" "口が苦い"という表現をされる方もいます。こんな方を胃カメラでのぞくと、食道に入ったとたん逆流してきた胃液が見えます。そして食道の粘膜が赤くただれていたり、傷ついて潰瘍を作っていたりします。胃と食道の境はパックリ開いていてしまりがありません。そして胃にはいるとゲフッ、ゲフッとゲップが出ます。手術でもして括約筋を強化すればよいのでしょうが、不愉快であっても体にメスを入れて治療しなければならないほど危険な病気でもありません。従って、現在は、胃酸の酸度を弱くする薬、つまり潰瘍薬を飲んで、仮に胃液が戻ってきても食道粘膜が傷つかないようにする治療が一般的です。こんな方は逆流を防ぐために、胃を圧迫する強いベルトやガードルを避けたり、前屈みの姿勢をさけましょう。また、寝るときは少しでも上半身を高くして逆流を避けることも有効です。そして太り気味の方はお腹のお肉(脂肪)を落とすと、脂肪による胃の圧迫が軽減し胸やけが軽くなります。これらのことが思い当たる方は、心臓を心配する前に食道、胃を調べましょう。
|
|
|
|
|