肺気腫と慢性気管支炎
COPDの定義は、"傷害性物質に対し異常な炎症反応が起こり、非可逆性(元に戻らない)の気道閉塞が進んでいく病気"と、されています。平たく言うと、気管を痛める物質を吸入して気管が炎症を起こし、気管の空気の通りが悪くなる病気で、これが一時的でなく徐々に進んでいくものを指します。
肺気腫は、COPDの代表的な疾患です。具体的には、気管支の先端についている肺胞という袋の構造が壊れ、その空きスペースに空気が貯まって膨らんだ(腫れた)状態になっています。この空気の貯まった空間には充分な毛細血管が張り巡らされていないので、ガス交換ができません。そのため坂道を上ったりすると息苦しさを覚えるのです。木のモデルでは、肺胞と言うべき葉っぱが枯れてしまい機能していない状態です。肺胞の壁がなくなるので肺全体がスカスカになって、レントゲンを撮ると、空気がただ貯まっているように見えます。まる
で葉っぱの落ちた枯れ木のようです。広葉樹は冬に枯れても翌春芽吹き若葉が生えます。しかし、一度壊れてしまった肺胞は元どおりにならず枯れ木のままとなり肺としての機能を果たせません。木の図で言えば図(A)の枯れ木が肺気腫です。
A:肺気腫
慢性気管支炎は肺気腫同様、傷害物質の吸入が原因となり、慢性的な気管の炎症が起こっているもので、毎日痰がたくさん出ます。肺気腫と異なるのは病気の部位が、末梢の肺胞近くではなく気管支に有ることです。木の図(B)で言うと、元気の良くない葉っぱがついているものの枝も細く病的なものを想像してください。
B:慢性気管支炎