大腸ポリープ

 胃と同様に大腸のポリープも様々です。重要な物から順番にまとめてみましょう。

1)大腸腺腫(adenoma)
 一般的に大腸ポリープというとこれを指します。良性の腫瘍ですが、徐々に大きくなってきて、5年ぐらいたつとガンになっていく物もあります。このため、内視鏡検査などで腺腫が疑われたときは切除することがほとんどです。15mm以上のポリープではすでに一部ガン化していることがあります。なお、大腸ガンのすべてがこのポリープを経由して発生している訳ではありません。遺伝子異常を持った細胞が、盛り上がったポリープという形態を取らず、平べったく徐々にその数を増しガンになっている物もあることが近年わかってきたのです。このため、平べったいポリープ(ポリープと呼ぶこと自体に問題がありそうですが)が、近年注目されるようになり、これらも発見されたら、大きくなっていくのを見届けるのではなく、早めに切り取ることが推奨されています。
2)過形成ポリープ
 胃の場合と同様、ほとんど正常な大腸の粘膜細胞が炎症その他の原因で増えてしまい、ポリープのように見える物です。ガン化することがないので切除する必要はありませんが、腺腫と紛らわしかったり大きめな物は切除されることもあります。腺腫に比べ内視鏡で見て赤みが少なく正常の粘膜に近い見てくれをしています。直腸など肛門に近いところに多発するのが特徴です。また、これはほとんどの人にあると言って良いくらいよく見られるため、問題がないこともあり、ポリープと呼ばず、過形成結節(Hyperplastic nodule)と呼ばれることもあります。

3)炎症性ポリープ
 潰瘍性大腸炎や古い病気では腸チフスなど激しい腸の炎症が起こったとき、その炎症が静まって、傷んだ腸の粘膜が再生する時にできる物です。再生の過程で、増殖した細胞が塊を作ってしまい、周囲の傷んでまだ再生していない場所より盛り上がり、ポリープとして見えます。これも基本的にはガン化しませんので、切除の対象にはなりません。ほかのポリープと比べ、まん丸でなかったり、変に長細かったり不自然な形をしていることがあります。これは炎症でできた潰瘍の治った後の形を反映している物だと思います。
4)粘膜下腫瘍
 これも胃と同様、粘膜の下にできる腫瘍です。盛り上がりの周辺が緩やかで、ちょうど掛け布団の中に何か隠れているような感じです。ふくらんだ掛け布団同様、何かが下にいることはわかりますが、それがいったい何かまで判別することはできません。大腸では、のう胞や脂肪腫、筋腫などが隠れていることが多いようです。これらのほとんどが良性です。基本的に何の治療も必要ありませんが、見た目が悪く悪性腫瘍が隠れていそうな時は手術になることもあります。


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