肝臓ガンの早期発見
1)画像診断 レントゲン、超音波検査、CT、MRI、血管造影など写真に撮って病気を診断する検査を画像診断と呼びます。このうち最も体に負担が少ないのは超音波検査です。肝臓は幸い超音波でよく見える臓器なので、上記の肝臓ガンになりやす
い方は3〜6ヶ月ごとにチェックすることが望ましいのです。しかし超音波も絶対ではありません。人によっては見にくかったり、死角が有ったりするためCTやMRIなども織り交ぜながら、見ていく事が大切です。
2)αフェトプロテイン(AFP) 肝細胞が作っている、胎児期に多いタンパク質です。腫瘍マーカーの中では、最も信頼度の高い検査の1つです。正常肝もAFPを作りますが、肝細胞ガンは大量に作るため、これが血中で
高値を示すと肝細胞ガンが芽生えている可能性が高くなります。慢性肝炎や肝硬変では肝臓ガンができていなくても、比較的高値を示すため、後日、再検査したり画像診断を併用しながらの経過観察が必要です。
3)PIVKA-II 肝臓ガンの発生とともに血中に増加するビタミンKの一種です。肝臓細胞ガンの発生と相関関係が高い腫瘍マーカーとして知られています。
その他、CEAなど胃や大腸ガンの腫瘍マーカーは転移性肝ガンの指標として、CA-19-9は胆肝細胞ガンの指標として重要です。
肝臓ガンの予防
肝臓に限らずガンの予防に対して決定的なものはありません。しかし、肝細胞ガンに対してはいくつか可能性のあるものが提唱されています。
1)ウイルス性肝炎感染の予防と治療 肝細胞ガンのほとんどがC型肝炎ウイルスやB型肝炎ウイルスの感染者に発生します。従って、これらのウイルスをもらわないようにしたり治療によって排除することが重要です。 B型、C型肝炎感染の予防は血液などの体液がつくカミソリや歯ブラシなどの共用をさけることが第一です。B型肝炎はワクチン接種や抗B型肝炎抗体の注射による対処も有ります。 C型肝炎はインターフェロン、リバビリン(レベトール)などの抗ウイルス剤でウイルスを除去することが可能なので将来の肝ガン発生を予防する意味で、若い方は是非一度インターフェロン治療を受けること
を考えて下さい。インターフェロンも1週間に一度で良いものが近々出てくる予定ですので、忙しい方も治療しやすくなります。インターフェロンでウイルスが除去できなかった場合でも、長期的に見れば治療をした人の方がしない人よりも肝細胞ガンの発生が少ないことが統計的にわかっています。B型肝炎の方は、インターフェロンによってウイルスは消せませんが、ある程度その勢いを押さえることができます。ラミブジンなどでもウイルスによる肝炎を鎮めることができますので、肝細胞ガンの発生を予防できる可能性があるでしょう。
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