肝臓ガン
肝臓にガンができることを肝臓ガンと呼びます。肝臓ガンには主に、原発性肝臓ガン(肝細胞ガン)、肝内胆管ガンそして、転移性肝ガンの3つがあります。
1)肝細胞ガン 解毒を行ったり、タンパク質を合成したり、栄養を蓄えたりという肝臓の主な機能を司る肝細胞が突然変異を起こしてできるガンです。肝細胞ガンのほとんどは、C型肝炎ウイルスやB型肝炎ウイルス感染者からの発生であるため、肝炎ウイルスの慢性感染が原因と考えられています。このため、肝炎ウイルスの排除が肝細胞ガン撲滅の近道であるため、近年はインターフェロンなど、抗ウイルス薬による肝炎治療が普及してきました。 さて、肝細胞ガンは、超音波、CTなどによる画像検査によって早期発見が可能です。ことにC型肝炎やB型肝炎感染者に対しては、3〜6ヶ月ごとに超音波検査を行い、肝臓ガンの発生がないかどうか観察してゆくことが、日本だけでなく健康保険の縛りが厳しいアメリカなどでも推奨されています。 治療は手術による切除、血管造影検査時に、肝臓ガンに栄養や酸素を運んでいる肝動脈にスポンジを詰め
て血管内腔をふさぐTAEや抗ガン剤の動脈内注入などが以前から行われてきました。 十数年前より、超音波で見ながら肝内のガンに直接針を刺し、エタノール(アルコール)を注入してそこだけ殺す局所療法が導入されました。以来、小さな肝臓ガン治療の中心になりました。エタノール注入以外にも、針の先端からラジオ波やマイクロウェーブを発生させ、肝臓ガンを焼いてしまう局所療法が数年前から始まり、エタノールと比べて痛みが軽いため、急速に普及してきました。これら、ガンの部分だけを殺す局所治療は、全身に対する負担も軽度です。また、治療した場所以外にも肝内の別の場所に次々と発生する肝臓ガンを何度でも治療できるなど、手術やTAEに比べて利点が多いため、中程度以上のガンでも第一番に選択されるようになりました。もちろん手術やTAEと組み合わせて行われることもあります。
2)肝内胆管ガン 肝細胞が作った胆汁を集め、胆嚢や十二指腸に流す配管を胆管と呼びます。胆管から発生するガンを胆管ガンと呼びます。胆管ガンは症状が乏しく、相当大き
くなり、太い胆管を塞いで黄疸が出て初めて気づくことが多く、大概の場合手遅れです。まれなガンなのは幸いです。
3)転移性肝ガン 胃ガンや大腸ガンの細胞が肝臓に飛び移ってそこで増えるガンです。元々のガンが見つかった時に同時に発見されたり、手術後月日が経ってから見つかります。1〜2個なら手術をす
ることもありますが、検査でわからない小さなものが肝臓の他の部位に広がっている事もあるので、前述の局所療法や、抗ガン剤の肝動脈内注入、血管を詰めるTAEなどが行われます。