胆嚢ポリープと胆嚢癌   急性膵炎と慢性

  ポリープというと、なにやら悪者というイメージです。最近、超音波検査(エコー)が、人間ドックや健診などに導入され、胆嚢ポリープの発見率は鰻登りです。ポリープができているので手術しなくてはならないと思っている方も多いようですが、胆嚢のポリープは比較的おとなしい物が多く、ポリープ=手術では決してありません。胆嚢ポリープの大半は"コレステロールポリープ"と呼ばれるコレステロールの塊が胆嚢の壁から盛り上がっているように見える物です。これらは癌になるわけではないため手術の必要はありません。これらは、胆石と異なり、腹痛の原因になることはなく、通常は無症状です。大概、

半年後、一年後に見ても大きさは変わりません。ただ、ポリープの中でも、まれに癌の芽が潜んでいるので、大きくなっていないか確認するため、半年〜1年後に超音波で大きさの変化を見ておく必要があります。大きさに変化がなければ心配いりません。
 ところで胆嚢は元々胆汁を貯めるだけの袋なので、小さな癌ができても症状が出ることはまれです。このため胆嚢癌のほとんどは、進んでから発見され、手遅れであることが多いようです。黄疸や腹痛という自覚症状も末期になってやっと出現します。比較的早期の胆嚢癌は、人間ドックなどで超音波検査をしたとき、偶然見つかります。






急性膵炎と慢性膵炎

 急性膵炎は、膵管が突然つまり、膵臓が急激に傷んで溶ける重い病気です。原因は、胆石とアルコールです。胆石は胆嚢から転げ落ち、胆管を下って、十二指腸へと出ますが、この出口付近は膵管と合流しているため(1ページ図)、ここに詰まると、胆汁だけでなく膵液も出口を失い、膵臓の中に充満します。膵液は様々なタンパク質や脂肪、デンプンを分解する酵素を含んでいるので、これが充満すると、膵臓自身を分解して溶かします(自己消化)。これが急性膵炎の実態です。胆石による急性膵炎は、元々胆石症が多い女性に多く起こります。アルコールによる急性膵炎は、言わずもがなで、大酒飲みがかかる病気で、こちらは男性がほとんどです。慢性膵炎が急性に悪化することもよく見られます。急性膵炎の腹痛はみぞおちから背中にかけての激痛で、普通の消炎鎮痛剤ではなかなか改善しません。膵臓から分泌されるアミラーゼなどの酵素が、血液や尿検査でひどく高い値を示すので、これらを調べれば明らか

です。治療は絶食、点滴と、膵臓のタンパク分解酵素を中和するFOYやフォイパンなどの薬剤です。重症な場合が多いため、入院治療が原則です。
 慢性膵炎は、アルコールを長期にわたって大量に飲んだり、急性膵炎を繰り返して膵臓を傷めた結果です。アミラーゼが高いとすぐに慢性膵炎と診断されがちですが、実際の慢性膵炎では膵臓の
内分泌(インスリン分泌)と外分泌(トリプシン、リパーゼ、アミラーゼなどの消化酵素の十二指腸への分泌)の両方の機能が破綻し、分泌が低下するため、必ずしもアミラーゼ値が高くなりません。インスリン分泌不全によって糖尿病になったり、消化酵素が不足し、消化不良となって下痢をしやすくなります。一時的に炎症が強くなると、急性膵炎同様強い腹痛を起こすので、このときは急性膵炎に準じて治療します。普段は、消化剤を服用したり、糖尿病治療など、膵機能低下を補います。

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