胆石のでき方と治療

 前ページの図のように、胆嚢にできる石を胆石と呼びます。胆石は肝臓内の胆管や総胆管にできることもありますが、ほとんどは胆嚢内にできます。胆嚢は胆汁を濃縮するところなので、その成分であるコレステロールやビリルビンが析出し、結晶化しやすい環境です。そして、この結晶が大きく育ったものが胆石です。昔の日本では、ビリルビン結石が主流でしたが、最近はコレステロールの多い食品を食べる食生活に変わってきたため、コレステロール結石が大半になってきました。
 さて、胆石は胆嚢の中にできているだけでは何も悪さはしません。しかし、石が胆嚢の細い首の部分や、総胆管に落ちて引っかかると、胆汁の流れを止めて痛みを起こします。便の出口がないのに腸がギューッと動く腸閉塞と同様、
胆汁が流れていかないのに胆嚢がキューッと収縮して、胆嚢を握りつぶされたような痛みが起こります。痛いだけではありません。正常な胆汁の流れがないと、腸から大腸菌などが胆管を逆流し、胆嚢炎や胆管炎という重い合併症を起します。この、胆石が転がり落ちる出来事は、食事によって胆嚢が収縮したときに起こりやすいと考えられています。特に、天ぷらや唐揚げ、中華料理など油をたっぷり食べたときは
、胆嚢が

思い切り収縮し、胆汁を送ろうとするので胆石発作が起こりやすくなります。
 コレステロール結石は、胆汁中のコレステロール、レシチン、胆汁酸という3つの主成分のバランスが崩れ、コレステロールが析出し結晶化してできます。従って、このバランスを元に戻すことができれば、結晶のコレステロールが再び溶け出して、石は小さくなって消えるはずです。手術によらない治療(内科的治療)では、この原理に従って胆汁酸であるウルソデオキシコール酸(ウルソ)を充分量服用し、胆汁中のバランスを正常に戻すことが行われています。ただし、全部の石がこれによって溶けて消えてしまうわけではありません。レントゲンで写るカルシウムの多い石は、一般に溶けません。当たり前ですが、石の数が多かったり、大きい石も溶けにくいとされています。胆石が見つかり溶ける可能性があるなら、まずウルソを試してください。しかし、少なくとも半年以上は続けないと溶けません。石ですからやむを得ませんね。なお。
Forty(40代), Fatty(太った), Fair(美人), Female(女性)と、Fがたくさんそろっている人に胆石は出来やすいと言われているので、当てはまる方はご注意下さい。






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