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赤血球の働きと貧血
赤血球中には、ヘモグロビンという赤い色素があります。このヘモグロビンは肺で酸素(O2)を結合して、動脈を通り全身へ運びます。体の各部署の毛細血管で酸素がはがれ、筋肉などへ供給され消費されます。酸素がはがれた赤血球は静脈を通って肺へ運ばれ、また酸素と結合し、再利用されます。(図2) この酸素供給のシステムが十分働かないと体の各部分が酸素欠乏に陥り、様々な弊害をもたらします。赤血球数あるいはヘモグロビン(血色素)の量が減って、酸素供給の流れが滞ることを貧血と呼びます。息切れ、疲れやすい、動悸や立ちくらみ、むくみなどが典型的な貧血の症状です。貧血の代表的な原因は出血によるもので、この場合、赤血球数が減るとともに、
長引くとヘモグロビンの量も不足してきます。出血は、月経過多、更年期の月経不順、子宮筋腫などが多く、次に胃腸の潰瘍や癌からの出血がよく見られます。また、胃を切除した方に見られるビタミンB12不足による貧血、腎機能低下による貧血などがこれに続きます。そして、骨髄自体の病気や生まれつき赤血球に欠陥がある貧血もありますが、これらは極めてまれです。貧血が見られたら、以上のことを念頭に入れて、原因検索する必要があります。特に、貧血をきっかけに胃癌や、大腸癌が発見されることが多いため、これらの検査は真っ先に行われます。貧血が進んでいるようでしたら、内視鏡(胃カメラなど)、バリウム検査、便潜血反応などの癌検診を積極的に受けることをお勧めします。
(図2)
貧血治療の考え方
貧血治療のポイントは赤血球の数やヘモグロビンの量を増やすことです。急激な出血や手術などでは、速やかに貧血を治す必要があるので、今でも輸血が行われます。近頃は輸血によってB型肝炎やC型肝炎になることはほとんどなく、エイズウイルスの抗体の有無も調べてありますので、以前より格段に安全になりました。とはいうものの最終手段であることには変わりありません。 赤血球の材料を補充する 骨髄に問題がなく、赤血球の材料が不足している場合はそれを補います。代表的なのは、
造血剤と呼ばれる鉄剤ですが、月経過多、子宮筋腫などの出血や偏食などによる鉄不足にきわめて有効です。人によってはむかついたりすることもあるため、寝る前に服用したり、吐き気止めと併用されます。鉄剤(造血剤)はすべての貧血に有効なわけではありません。胃を切除するとビタミンB12を吸収できず、巨赤芽球性貧血になります。この場合はB12を補います。しかし胃がないと飲んでも吸収できないため、ビタミンB12は注射(メチコバールや総合ビタミン剤)で補われます。
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