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虚血性心疾患の漢字の意味をそのまま口語にすると、血が空っぽ(虚)になる心臓の病気となります。心臓は筋肉でできており、手足の筋肉と同様に血管を介して酸素や栄養の供給を受けています。この心臓へ血液を送っている血管は、心臓から大動脈へ出てすぐの場所で大動脈より分岐し、心臓の頭に乗っかって、心臓を覆う冠の様に見えるため、冠動脈と呼ばれます。この冠動脈を血液が十分に流れず、循環不全を起こすと、虚血性心疾患と呼ばれます。虚血性心疾患には2つあり、短時間の循環不全を起こし、また元にもどる狭心症と、冠動脈の流れが完全途絶する心筋梗塞があります。狭心症では心臓の筋肉の酸素欠乏は一時的ですが、心筋梗塞では詰まった動脈の先が永久に酸欠になるため、心筋が死にます。柔道の絞め技で首を絞められ一時的に意識を失った状態を落ちると言います。そして敵が落ちているのに締め続けると命がなくなります。同様に心筋が落ちて仮死状態になることを狭心症と呼び、完全に死んでしまうことを心筋梗塞と呼びます。 冠動脈には左右があり、左はさらに太い2本の動脈に分かれているので、主な血管は3本です。これらは、いくつもに分岐し、
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心筋にまんべんなく血液を送っています。冠動脈が詰まるといっても、3本同時に詰まるわけではありません。また、根元が詰まれば広範囲の心筋が傷み、先っぽだけではほんの少ししか心筋は死にません。広範囲が傷むと、急性心不全という、ポンプとしての心臓の機能が侵され非常に危険な状態になります。小さな範囲が傷む場合はポンプ機能に支障を来しません。しかし、傷んだ場所からスパークが起こり、致命的な不整脈を起こすことがあるため油断がなりません。心筋梗塞は、その範囲の大小にかかわらず、命に関わる大事件なのです。 狭心症は、血管が完全に詰まる前に起こる、一時的な循環不全ですので、命に別状はありません。しかし、狭心症が起こると言うことは、冠動脈の流れが滞っている証拠なので、心筋梗塞を起こす前触れと言ってもよいでしょう。狭心症の症状が起こった場合は、心筋梗塞を起こす前に手を打つことが虚血性心疾患治療のポイントです。
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