2)非経口剤 口から飲み込む薬以外すべてがこれになります。注射薬、吸入薬の一部、座薬、口の粘膜から吸収される舌下錠、そして皮膚から吸収するテープ剤(経皮吸収剤)などがあります。これらは吸収する部位はどこであれ、肝臓を通らず末梢血管から直接心臓に達し、そのまま全身へと運ばれます。胃腸で失活されたり、肝臓で分解されやすい薬はこのルートが便利です。注射薬や座薬、舌下錠や吸入薬はどれも体内への吸収が速く、急ぎの治療に便利です。また、意識のない方など経口薬が飲めない場合で も、薬の効果が期待できま
。反面、注射や座薬は痛みや不快感を伴います。テープ剤は非経口剤のなかでは、吸収が遅く、貼って いる間は効果が持続するため経口剤に近い使われ方をします。しかも経口剤よりじんわりと効果が現れ効果持続時間も長く、副作用が出た場合には、はがせばよいという使いやすさがあります。また、切って使用すれば細かい用量の調節も可能です。かぶれてしまったり、はがれてしまうことが難点ですが、同じ薬効でも経口剤より使いやすい剤型だと思います。フランドールテープ、ホクナリンテープなどが有名です。
3)外用薬 湿布や軟膏など、使った局所にだけ効果を発揮する 薬です。大量に使わない限
り全身的な副作用はありません。
薬の代謝と排泄
代謝や排泄と言うと言葉が難しくなりますが、要は体内に入った薬が分解され効果を失って体外にでていくことです。一度使った薬がずっと効いていれば何度も飲まないで済み、楽だとお考えの方もいるでしょう。しかし、薬がずっと効きっぱなしの状態を想像してみてください。例えば睡眠薬です。ずっと効いているなら飲んだ女性は"眠れる森の美女"になってしまうでしょう。また、抗生物質なら体内に薬に抵抗性のある耐性菌ができたり、腸
の善玉菌が死んで、ひどい下痢になります。血糖降下剤なら低血糖に、そして血圧の薬なら低血圧になります。従って、薬はそれぞれ、ある時間になったら効力を失うように作られているのです。 さて上の図のように、薬のほとんどは体の解毒作用を司る肝臓や腎臓で分解(代謝)され、肝臓から胆汁として腸、便へ、また腎臓から尿として分泌され体外へと排泄されます。従って、肝臓や腎臓の機能が低
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