わゆる、運動マヒや感覚マヒの状態です。脳は、運動、感覚以外にも、バランスをとったり感情や記憶、思考なども司っています。脳に突発事故が起こって、これらの場所がやられると、ふらついたり、ふるえたり、細やかな感情表現ができなくなったり、ボケを起こしたりします。このように脳に事件が起こると、起こった原因ではなく、起こった場所に関連した症状をきたします。なお、図で見ると手、特に指に関連す

る脳の範囲が大きいことが分かるでしょう。これは、体の各部分の大きさによって対応する脳の大きさが決まっているのではなく、機能の量によって大きさが決まっているからです。従って、細かい作業を行う指の運動を司る脳細胞の量は、指一本で足首から下全体と同じくらいになるわけです。


脳梗塞

 脳梗塞を大きく分けると3つのタイプがあります。アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓、ラクナ梗塞です。日本ではおよそ、各々1:1:2の割合です。そして、これらのごく軽いものとして24時間以内にマヒなどの症状が治るTIA(一過性脳虚血発作)と呼ばれるものがあります。以下はその特徴です。
アテローム血栓性脳梗塞
 脳の比較的太い血管に動脈硬化を起こし、血液が固まって詰まるものです。動脈硬化を促進する、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症などを持っている人に起こりやすいとされています。高カロリー、高脂肪食にどっぷりと浸かった、欧米人に多い脳梗塞でもあります。上記の基礎になる病気をきちんと治療しておくことと、血液をサラサラにする薬(バッファリン(アスピリン)、プレタール、パナルジン、ワーファリン)などを飲んでおくなどの予防が大切になります。
心原性脳塞栓
 様々な心臓病によって、心臓内にできた血の塊などがちぎれ、脳の血管へ流れてきて血管を詰まらせる脳梗塞です。原因として多いのは、心房細動などの不整

脈、心臓弁膜症、弁置換術後、急性心筋梗塞の初期などです。原因となる心臓病の治療を行った上、ワーファリン、アスピリンなどの薬で、心臓内に血の塊ができないように予防します。
ラクナ梗塞
 脳内の細い血管の枝が詰まった脳梗塞で、直径3〜5mm程度のものが大半をしめ、大きくとも15mmまでのものを指します。動脈硬化による脳血栓と、心臓由来の脳塞栓の両方があります。症状が無く、たまたま撮影したCTやMRIなどで偶然見つかる脳梗塞のほとんどがこれです。治療はやはり、アスピリン、パナルジンなど、血液をサラサラにする薬を予防的に使います。
 脳ドックでは、症状のない50代の方で10%、70代で30%にラクナ梗塞を中心とした脳梗塞がある言われています。脳梗塞は高齢化時代にはとても身近な病気と言えるでしょう。みんながみんな半身不随になったり、ボケてしまうわけ

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