すこやか生活
おなかが痛む(腹痛)
"おなかが痛い"という症状は、極めて不愉快なものです。病院を訪ねる原因として、風邪症状に続いて多いかもしれません。しかも、おなかの中には様々な臓器があり、いったいどこがどういった理由で痛むのかわからないので、不安をかき立てられます。内科は元来、内臓の病気を手術によらず診断して治す診療科です。そして、様々な臓器と病気があるおなかは、内科医としてもっ
とも腕を振るえる場と言えるでしょう。こういったわけで、消化器内科は現在も内科の中心的な診療科とされています。 さて、おなかの痛みにも臓器、病気の原因、病気の広がり方など千差万別で、ひとくくりにすることは到底不可能です。そこで、今回は様々な腹痛について整理し、腹痛をどのように考えるか、どのような腹痛が要注意かなどについて、述べます。
腹痛の位置と臓器
おなかにある主な臓器の位置を図1に示しました。そして、臓器の名前は主にその臓器の痛む位置を示しています。胆のうや肝臓は右脇腹の肋骨の下にあり、胆石発作による腹痛がここです。胃は、おなかに食べ物が入っているかどうか、立っているか寝ているか
によっても異なりますが、主に、みぞおち付近に痛みがきます。胃に続く十二指腸も同じくみぞおちが痛みます。胃、十二指腸潰瘍はこの付近に腹痛を起こす病気の代表です。盲腸は、おヘソの右下付近にあるため、おヘソと骨盤の出っ張りの真ん中あたりを押すと、強い痛みを覚えます。大腸は図のように腹中に広く存在しますが、下痢など腸炎を起こしているときには、出口に近い部位ほど炎症が強いことが多く、下腹部か下腹部のやや左側を押すと痛みが目立ちます。膀胱炎はまさに下腹部です。 このほか、図に無い子宮や卵巣も下腹部に痛みを起こします。小腸はおなか全体に広がっているため、どこと位置を示すことは不可能です。