ノドが真っ赤になっている?

 「ノドが赤いですか?」こんな質問をよく受けますが、いったいどこが赤いのでしょうか?目にはいるのノドは突き当たりの咽頭後壁とそこに並ぶリンパろ胞、口蓋扁桃、舌に口蓋ですが、赤いかどうか評価するのは一般に咽頭後壁です。インフルエンザなど、咽頭に感染し、そこに強い炎症を起こす疾患では、ノドの赤味が強いようです。しかし、ノドの赤味はノドの感染症にかかっていなくとも、熱が高くなる病気の場合では概ね赤くなっています。体の別の部位の炎症で熱を出しているときでも、熱に

よって全身の血管が拡張し、熱を逃がしやすくなります。この一環として、ノド(咽頭後壁など)の粘膜の血管も拡張し、真っ赤になるため、全身症状の一つとしてノドが赤くなるのです。このように、ノドが赤いからといってインフルエンザなどの風邪とは限りません。
 なお、インフルエンザなどの感染症では後壁の粘膜が赤いだけでなく、ツブツブのリンパろ胞も真っ赤になっている点が見逃せません。なお、アデノウイルスや、コクサッキーウイルスなども咽頭後壁を真っ赤に染める炎症を起こします。






ノドの痛みの大多数(後鼻漏)

 皆さんが想定しているノドの痛みの主原因は、扁桃炎やインフルエンザの様に咽頭後壁の強い炎症だと思います。ところでノドの痛みの大多数がこれらではないと言ったら「エー!!」という声が挙がるかもしれません。しかし、毎日たくさんノドの痛みを訴える患者さんを診ていて、痛みの一番の原因は何かと問われれば、後鼻漏と答えざるを得ません。
 鼻汁は前に出て来ると思われていますが、ほとんどが後方のノドへと垂れます。鼻汁の主成分は、フコースやシアル酸などの糖、ムチンという糖タンパク、好中球エラスターゼなどの酵素です。フコースやムチンは、鼻汁の粘りけの主成分であり、シアル酸は細菌などの外敵が鼻腔の細胞へ付着するのを防ぐ物質です。またエラスターゼは好中球(主な白血球)が細

菌などを殺すときに使う消化酵素で、タンパク質を分解します。副鼻腔炎の時は、これらの糖タンパクの成分が変化し、鼻汁が黄色や緑になって、粘りけが増し、ノドにからんでしまいます。また、エラスターゼは自分の細胞も解かすので、ノドの粘膜を傷めてしまいます。
 さて、ノドの痛みの主因である後鼻漏は、ノドを診察するときによく見かけます。この鼻から後へ落ちてくる粘りけのある炎症性の鼻汁は、鼻腔から咽頭後壁へ垂れ下がり、喉頭方面へと連なることもあります。よくノドをカーッと鳴らして振動させ、痰を吐き出している方を見かけますが、その痰の正体は鼻からノドに付着している後鼻漏が中心です。
 この後鼻漏はノドの痛みのみならず、息を吸うとき

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