COPDの治療

 COPDは抹消の気道(気管支~細気管支)の狭窄で、息苦しくなる(呼吸困難)病気です。原因は有毒物質吸入による気道の炎症からくる傷害です。この点を思い出しながら治療を見ていきましょう。
1)一に禁煙
 有毒物質の代表です。タバコを止めることで、発症や病気の進行を抑えることができ、最も経済的な方法です。どうしても止められない方は、禁煙指導を受け禁煙パッチや内服薬を使えば無理なくタバコを止めることが可能です。
2)気管支拡張剤
A)β2刺激剤
 気管支の筋肉を弛緩させ、内径を広げる働きがあります。以前は内服薬と発作止めの吸入が中心でしたが、近年は一日を通して効果が持続し副作用の少ない吸入薬やテープ剤が使われます。セレベント、ホクナリンテープなどですが、急性増悪で呼吸困難が起こったときはメプチンエアなども使われます。
B)抗コリン薬
 アセチルコリンは副交感神経による気管支収縮や気道分泌を促す物質です。この働きを抑えることは、交感神経を刺激するβ刺激剤と同様な作用があります。抗コリン薬は、気道から血中へ吸収されにくいため、比較的副作用が出にくいことが特徴です。近年、持続作用のある薬剤が開発され、一日一回の吸入で済むスピリーバなどがよく用いられています。

C)キサンチン製剤
 デオフィリンなどの薬で、古くからぜん息治療で用いられてきた気管支拡張剤です。現在はβ刺激剤や抗コリン薬の補助的な薬として使われています。
3)その他の薬
A)ステロイド
 ぜん息同様、吸入タイプのステロイドが気道の炎症を軽減し
COPDの増悪を抑制し症状を軽減するため、気管支拡張剤に加えて用いられることが多くなりました。
B)マクロライド系薬剤
 クラリスロマイシン、エリスロマイシンなどで、殺菌作用は大したこと無いものの、COPD悪化を防ぐ効果が期待されており、用いられる場面が増えました。
C)去タン薬
 カルボシステイン、アンブロキソールなどで、タンをスムーズに出すことでCOPDの増悪を防ぎます。
4)呼吸リハビリ
 肺活量を増やしたり、末梢気道が閉塞しないような呼吸法を身につけるリハビリです。息を吹き込むタイプのリハビリ器具を使って自宅で毎日行ったり、栄養指導・療法によって呼吸筋をしっかりさせることが中心です。これにより、息苦しさなどの症状が緩和されます。






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