すこやか生活

気道と空気の出入り

 吸い込んだ空気は鼻からノドを通り、声帯をまたいで気管に入ります。気管は左右二股に別れ、以後二股の分岐が22回ほどを経て、肺胞という血液と空気が酸素と二酸化炭素のやり取りをする場所へとつながります。声帯から上を上気道、下を下気道と呼び、これらのどこかが炎症や腫瘍などで狭くなって空気の出入りがスムーズに行かないことを気道閉塞又は気道狭窄と呼びます。気道の入り口は通常鼻ですが、その閉塞である鼻づまりが起こった場合は、口から空気を吸い込みます。このあたりは気道がある程度閉塞していても、別のルートがあるので大丈夫ですが、ノドから下は通り道が1本なので、一旦つまるといっぺんに息苦しくなります。
 さて、通り道として気管は直径2cmと一定の広さをもっているので喉頭ガンや食道ガン、食べ物、異物の誤嚥など大きなものがそこを塞いでしまわない限り通過障害を起こすことは希です。しかし、次の左右の主気管支は直径1cmと気管の半分です。このように二股に分かれるたびに直径が小さくなっていくとしたら、先はどんどん狭くなっていき

ます。実際に二股に分かれるたびに狭くなるので、5分岐した細気管支レベルで直径1mm、22分岐した肺胞直前の肺胞管レベルで直径0.1mmと1/100となり、分岐ごとに平均6割~7割の太さに細くなっていく勘定です。
 こうして空気の通り道は数は増えるものの狭くなっていくため、ひとたび気管支や細気管支以下の気道狭窄が起こるといっぺんに空気の出入りが滞ってしまいます。空気を吸うときは横隔膜や肋間筋の力で掃除機のように陰圧を作り、吸い込みますが、はくときは筋肉の緊張が弛むにまかせ、力をかけず自然に息をはき出します。このため、空気を出す力は弱く、気道が狭くなるとまず、
呼気から滞ります
 ここで、根本に近い気管支を
中枢気道、細気管支以下の細い気管支を末梢気道と定義すると、気管支喘息は中枢(~一部末梢)気道、COPDは末梢気道の狭窄で起こる病気とされています。これらの病気になるとはく息から滞り、息をはくのが苦しくなって呼気時にヒューヒュー、ピーピーと狭い気道を通る空気の音が出ます。






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