子供の頭部の発育と病気

 頭部・頭蓋骨は面白いもので、目から上と目より下の発育の速度が違います。目から上は神経型の発育を示します。ところが、目より下は、一般型の発育をします。子供のうちは、鼻が小さく低く、鼻腔の内腔が狭くなっています。鼻腔が狭いと、耳管もつまりやすいのです。口は小さくおちょぼ口です。上顎洞という副鼻腔と鼻腔の交通路は広く、鼻・副鼻腔が一体化するようつながっています。鼻咽頭と中耳の交通路の耳管は水平に近い構造をしています。大人になるにつれ、顔が長く、顎が大きく強くなって、口も大きくなります。同時に鼻も大きくなり鼻腔のスペースが広がります。これは、大人ほど鼻や耳管がつまりにくいということです。目より下が遅れて下に伸びますから、水平だった耳管も中耳に向かって上向きの傾斜がつき、雑菌の侵入もまれです。
中耳炎: 鼻腔の常在菌である、インフルエンザ桿菌(Hib)、肺炎球菌、ブドウ球菌や連鎖球菌などが耳管を通って中耳に侵入し、化膿性の炎症を起こす病気です。図のように耳管が水平なお子さんは、成人より中耳に雑菌が侵入しやすい構

造なので、鼻炎がこじれるとしばしば中耳炎になります。侵入した細菌は、耳管が十分開存しているなら、鼻腔へ排出されますが、鼻粘膜が腫れていると上咽頭にある耳管開口部がふさがり、排出できません。定着した菌は、中耳で繁殖し中耳炎を起こします。中耳に炎症が起き、膿が溜まると内圧が高まり、鼓膜が外側に膨隆し、バリッと破れて外耳道へ膿が垂れてきます。膿が出るように、鼓膜を切って開排させることもあります。中耳は脳に近いので、炎症が頭蓋内に及ぶと、髄膜炎になります。お子さんは構造上の問題、もともとあるアレルギー性鼻炎の問題により、中耳炎を繰り返す事が多いようです。治療は抗生物質ですが、鼻炎の予防と治療も大切です。飛行機に乗ったり、長いトンネル、高層ビルのエレベーターなど気圧が急に低くなる環境へ連れ出すことは避けましょう。なお、Hibワクチン、小児肺炎球菌ワクチンは、鼻腔内の常在菌の毒性の高い菌株を免疫力で排除し、比較的おとなしい菌株に置き換える事が目的です。
副鼻腔炎: 鼻腔には、大きさの順に、上顎洞、前頭洞、蝶形骨洞、篩骨洞の4つが左右それぞれにあります。これらは、吸った空気の一部を溜め、温めたり湿度を上げて気管や肺に優しい空気に変えるほか、ギターやマンドリンのボディのような共鳴箱として、声を大きく響かす働きがあります。鼻腔との連絡口付近の鼻粘膜が、アレルギーなどの炎症で腫れると、連絡口が閉じます。すると、中で炎症を起こし、熱が出たり、頭痛や目の周囲の痛みとして感じます。急性の副鼻腔炎は、痛みと熱のあと、連絡口がポンっと開いて、ドロッと鼻腔、ノドへと膿が出て治ります。通常熱は1日だけです。しかし、慢性化して、いつまでも膿性の後鼻漏を垂らすこともあり、溜まった膿がな






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