鎌倉市大船 山口内科 すこやか生活第16巻1号

すこやか生活

熱中症とは

もうろうとしたり、こむら返りなど脱水症状が中心の軽度なもので、II度はその中間です。
 これら熱中症が起こる仕組みは以下です。
@高熱:人の体は37℃で一番効率がよく、体内の様々な化学反応が起こるようにできています。39℃〜40℃などこれを大きく越えると、細胞が生活するために必要な反応が起きず、細胞が傷んでしまいます。
A循環不全:体温が上がると、下げるために皮膚の血管が拡張し、そこを流れる血液から熱を逃がします。自動車のラジエーターと同じです。しかし、皮膚ばかりに血液が流れると、内臓へ行く血液が不足し、脳や肝臓・腎臓などの重要臓器が循環不全に陥ります。
B内毒素の進入:腸の循環不全で、粘膜が傷むと、腸内細菌の細胞膜上の毒物が血管内に進入し、高熱を発します。
CDIC:熱中症は、初期段階から血管内の血液を固めるタンパク質(凝固因子)が活性化され、微少な血管内凝固を起こします。凝固因子が使い果たされ不足すると、いざというとき血液が固まらなくなり出血しやすくなります。
D多臓器不全:上記のDICが起こると、各重要臓器内の細かい血管のあちこちに血栓ができてつまり、循環不全が進みます。

 夏がやってきました。この時期、暑さに負け、だるさや食欲不振、めまいや頭重感、動悸など体の不調を訴える方が激増します。新聞やテレビで熱中症対策や予防を訴える記事や番組が毎日のように流れてくるため、自分も熱中症になったのではと心配される方の相談が増加します。熱中症とは「暑熱環境下においての身体適応の障害によっておこる状態の総称 」です。つまり、暑い状況で、暑さに体がついていけず、様々な体の不具合・症状が起こるもの全てを熱中症と呼びます。これでは漠然とするのでここでは、熱中症の程度、どうして起こるのか、具体的な症状などについて整理しましょう。
熱中症の重症度分類
I度(軽症 日陰で休む。水分補給)
II度(中等症 病院にかかり補液を受ける必要がある)
III度(重症 救急車で救命医療を行う医療施設に搬送し、入院治療の必要がある)
 ここで、III度とは、脳神経、肝臓・腎臓、血液凝固系に重大な障害をきたしている状態で、命が脅かされる段階です。具体的には、意識消失や全身のけいれん、体の動きが不自然で、ふらついたり、うわごとを言ったり、異常に興奮するような脳の症状が出る場合、血液検査で肝機能異常、凝固機能異常が出た場合が該当します。I度は暑くて






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