鎌倉市大船 山口内科 

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感染症ってなに?

 感染症とは、寄生虫、カビ、細菌、ウイルスなどの微生物や、プリオンタンパクが、高等の生物(宿主)に寄りつき、好ましからざる反応(病気)を起こすことです。この定義から、"感染"とは、微生物などが宿主に寄りついた状態で、好ましい同居は"共生"と呼ばれます。つまり、他人からうつされる伝染病だけでなく、動物や昆虫、自然環境に住む微生物が人の体に寄りつくことも感染と呼ぶわけです。
 ところが、感染症は"感じて染まる"という単語のニュアンスから、人から人へと次々にうつる伝染病のイメージがつきまといます。しかし感染症の多くは、インフルエンザのように必ずしも人から人へ伝染して病気を起こすわけではありません。感染していても他の人にうつらなかったり、普段はおとなしく共生していて、宿主の体調が崩れた時などに大暴れして病気を起こすものなど様々です。
 お母さんの体の中で守られている胎児は無菌状態です。一部の胎盤を通るウイルスを除いて、感染とは無縁です。ところが、いったん母体外に出ると、皮膚には表皮ブドウ球菌や黄色ブドウ球菌が住み着き、母乳

を飲んだり離乳食を食べることによって、乳酸菌、バクテロイデス、クロストリジウム、大腸菌などが次々に感染し、それらは腸に住み着き共生します。また、口の中には歯周菌、そしてノドには扁桃腺炎の原因として有名な溶連菌が感染(共生)して、普段はどちらもおとなしくしています。同様に、ヘルペスウイルスの同居も普段は気づきません。これらの菌は人体に住み着いているからといって病気の原因とは限らない微生物たちです。共生している微生物は、細菌やウイルスだけでなくカビもいます。これらの微生物は単に人体に住み着いているだけではなく、体内で必要な物質を作ることもあります。このため、体内の有用な微生物を抗生物質で殺してしまうと、かえって病気になることすらあります。例えば、抗生剤の服用で下痢をするのは、腸内を落ち着いた環境を維持する善玉菌が死んだ結果です。抗生剤を長く飲んでいると口内などにカビが生えるのは、他の微生物から体を守っている常在菌が一掃されカビが置き換わるからです。腸内の善玉菌が死ぬとビタミンKなどが作られず、欠乏症になることもあります。
 以上、感染、感染症、共生、そして、他人へうつす感染症、他人へうつさない感染症の定義を明確に区別して考えていきましょう。






感染症ってなに? | 伝染しない感染症
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