カンジタ

 カビは、菌糸という糸をひくイメージですが、だ円形のツブツブした菌体をした酵母というカビもあります。酵母は、パンだけでなくビールや味噌、醤油など発酵食品を作るために必要な、人とつきあいの深い真菌です。この酵母の仲間で、人体に同居しているカビの代表がカンジダです。増殖は、出芽といい、だ円の菌体から小さなだ円の子供が分かれるタイプです。このカンジダは、普段は少数が、皮膚、口の中、膣などに常在し、様々な原因でそれらの部位で大量発生し、かゆみや味覚障害などの症状を呈します。
口腔内カンジダ症
 免疫抑制剤や抗ガン剤、抗生物質の使用、ぜんそく治療薬の吸入ステロイド剤の吸入などで、口の中の免疫力が弱まると、普段はおとなしくしているカンジダが口腔内に急増します。鵞口瘡とも呼ばれるこの病変の典型は、白苔と呼ばれる、舌に白いこけが生えたような外観を呈します。口蓋弓にこけ状のものが付着したり、真っ赤ないわゆる一般的な炎症の外観を呈するものもあります。
 カンジダによる炎症で、舌や口腔内粘膜が犯されると、ヒリヒリする痛みや、味覚障害を覚えます。
治療)ファンギソンシロッ

プなどの抗真菌剤ですが、飲み込むより薬を口に長く含んで接触時間をたっぷりとって、感染部位を長時間、薬に曝すのが有効です。我慢できなくなったら、飲み込んだり、はき出します。
カンジダ性食道炎
 胃内視鏡で覗くと、食道粘膜に白い粟粒大の苔がたくさん付いたように見えます。食べ物の残りカスもそっくりに見えますが、こちらは水で洗うとすぐ流れてしまいます。免疫力が低下したときなどに出てきます。無症状のことが多いのですが、炎症が強いと、飲み込んだときの胸のつまりや痛みを感じます。
治療)前述のファンギソンシロップが有効です。
カンジダ性膣炎
 膣のかゆみや白っぽいおりものが特徴の比較的良く見られる感染症です。体力や免疫力の低下、ピルの使用や妊娠ほか、内科でよく見かけるのはセフェム系抗生物質の服用に伴ったものです。これは、カンジダの発育を抑えている膣の善玉菌(乳酸菌など)が抗生物質でやられ、カビの繁殖に歯止めがなくなった結果、カンジダがはびこったものです。
治療)抗真菌剤の膣錠を入れます。






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