様々な肥満

ハイリスク肥満
 健康障害を持たなくとも、内臓脂肪型肥満症であれば、将来健康障害を起こしやすいので「ハイリスク肥満」として肥満症のくくりに入れます。内臓脂肪の測定を厳密に行うには腹部CTを撮影しますが、一般的には腹囲を測って、男性なら85cm以上、女性なら90cm以上がこれに該当します。これは、特定健診のメタボ判定の基準と同じです。特定健診で血液検査や血圧の異常が軽度で治療の必要がなくとも、腹囲が該当する方に保健指導で減量を促すのは、のちのち健康障害が起きてくる可能性が高いからです。
二次性肥満(症候性肥満)
 食べ過ぎや運動不足によるふつうの肥満と比べて少ないのですが、高度肥満の方には時々見られ、ホルモンの異常など生活習慣以外に肥満の原因があるものです。治療によって大幅に改善するので、疑わしい場合は、きちんと調べて治療する必要があります。
A)内分泌性肥満
Cushing症候群
:副腎皮質ホルモン(いわゆるステロイドホルモン)の増加で体の中心(胸や腹)が肥満します。顔が丸くなるmoon faceも特徴です。原因はホルモン産生腫瘍が多いのです

が、膠原病その他で長期的に多めのステロイドホルモンを治療に使う場合も起こります。治療は原因となる腫瘍の切除や、使用中のステロイドホルモンの減量です。
甲状腺機能低下症:橋本病や甲状腺の切除によってホルモンが不足すると、代謝が不活発になって、体重が増加します。必要十分なホルモンを補充することによって速やかに解決します。
 その他、多のう胞性卵巣症候群などもあります。
 Berdet-Bledl症候群や、PradedWill症候群、Klinefelter症候群など先天性異常による肥満は知的障害等の症状を伴うことがあるので、疑わしければ染色体や遺伝子検査をします。摂食の中枢、視床下部の異常で起こるものもあり、CTやMRI、内分泌検査が必要なこともあります。
 その他、薬剤性の肥満には、向精神薬、特にうつ病に使われる新薬で肥満になる方が増えました。向精神薬でストレスに鈍感になるのは当人にとって楽なことと思いますが、活動性が無くなって運動量がめっきり落ちることが原因なのでしょう。薬も善し悪しですね。






肥満と様々な生活習慣病

 特定健診のBMIの基準値25以上の方は、男性では29.1%、女性では19.4%も該当します。健康志向が高いのか、自動車の利用者が全国平均と比べて少ないためか、鎌倉市では全国平均と比べ、やや少ない数字となっています。肥満と各種生活習慣病は密接に関係しますが、具体的にどう関係するかを見てみましょう。
糖尿病や耐糖能異常(境界型糖尿病)
 内臓脂肪型肥満は、血糖値を下げるインスリンの働きを弱めます。これにより肥満→耐糖能異常→糖尿病

→その合併症発生と進みます。この傾向は腹囲が男性85cm、女性が90cm以上で明らかです。
脂質異常症
 肥満は脂肪酸の合成、分泌が活発になり、これらがVLDLと呼ばれるタンパク質と一緒になった中性脂肪として血中に出てきます。これは、中性脂肪を血中に放出したあと、コレステロールを含む遺残物(レムナント)として血中に残り、悪玉コレステロールのLDLのように、動脈壁にコレステ

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