糖尿病と言われたら

 「糖尿病です。」「糖尿病の予備軍ですね。」こう、医師に言い渡されたり、健診の結果が出たら、どのようにお感じでしょうか?"これから甘いものを食べないようにすればよい。"こんな思いを抱かれる方がほとんどでしょう。"甘いものを食べないようにすればよい"は、部分的に正しいのですが、糖尿病の本質を突いた生活改善からは、ほど遠いものです。まずは、糖尿病とはどんな病気なのか、どうしていけば良いのかについて確認しておきましょう。
 糖尿病とは、血液中のブドウ糖をエネルギーとして使うために必要なインスリンの働きが、不十分となる病気です。インスリンが十分働かないと、エネルギーとして使い切れなかったブドウ糖が、血液中にだぶついて血糖値が上がり、尿へブドウ糖があふれ出てきます。また、ブドウ糖の代わりに筋肉のタンパク質をエネルギーとして使うので、筋肉がやせ衰えてきます。そして、高血糖が長く続くと、全身の血管に動脈硬化を起こし、腎臓を傷めネフローゼや腎症を起こし腎不全に至ります。また、網膜に動脈瘤ができると、眼底出血を起こし視力が低下します。動脈硬化が心臓の冠動脈に起こると、狭心症や心筋梗塞の原因となり、脳の血管に動脈硬化を起こすと脳梗塞を誘発します。こ

のように、糖尿病は様々な合併症の原因となるやっかいな基礎疾患です。これらを回避することが糖尿病を治療する目的です。
 ところで、"インスリンの働きが不十分"とは、どんなことでしょうか?次の2つのタイプがあります。
I型)インスリン自体が不足している場合。(インスリン不足)
II型)インスリンは足りているが、食べ過ぎ、運動不足その他で、インスリンが働いても間に合わなかったり、インスリンの働きに呼応する筋肉が、十分ブドウ糖を消費できない場合です。(インスリン抵抗性)
I型)は、膵臓のランゲルハンス島というインスリンの分泌部位が壊れ、インスリンの生産ができなくなった場合に起こり、若年者に多いタイプです。膵炎やガンで膵機能が廃絶した時も類似です。
II型)中年以降の成人に多く見られるタイプの糖尿病で、食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足によって、インスリンがあるのに摂取したエネルギー(カロリー)を十分に消費できず、処理しきれなり、ブドウ糖があふれているタイプです。
 糖尿病や予備軍と言われたら、まずはどの程度の糖尿病か、I型)、II型)のどちらなのか確認し、タイプに合った治療や予防の方針を立てていきます。






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