腸は消化管の一部かつ大部分であり、胃から下がすべてが腸と呼ばれます。胃に続いて上から十二指腸、空腸、回腸(ここまでが小腸)、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸(ここまでが大腸)を経て肛門に至ります。小腸の主な働きは、食物の消化と栄養や水分の吸収です。大腸は一部小腸とかぶりますが、基本的に残りかすを整えて便を形作っています。もう少し細かく見ていきましょう。
 小腸はおよそ6mほどの長さで、粘膜にはヒダがあり、顕微鏡でみると絨毛と呼ばれる指のような突起で覆われています。この突起の表面は、電子顕微鏡で何とか確認できるさらに小さい微絨毛と呼ばれる突起で覆われ、全体として見かけを大幅に上まわる面積を持っています。表面積はおよそ、テニスコート1面にも及びます。面積が広い理由は、食物が消化されて小さな分子となったブドウ糖やアミノ酸、脂肪酸と接する面積を増やし、これらを吸収しやすくするためで

す。前二者の栄養素は吸収されて血管に入り肝臓へ運ばれ貯蔵されたりタンパク質の材料となります。脂肪はリンパ管へと入り、肝臓ではなく左肩の静脈へ流れ込みます。また、水分も80%近くが小腸で吸収されます。Na(ナトリウム)、K(カリウム)などの塩分も大部分が小腸で、吸収されています。
 大腸は60cm~1m程度と小腸より短く、内腔の直径こそ太いものの小腸ほど絨毛、微絨毛が発達しておらず、栄養を吸収する場としては占める位置が小さいと言えるでしょう。しかし、大腸には乳酸菌や、大腸菌など善玉の腸内細菌が同居(共生)しており、ビタミンの形成と吸収、消化できなかった食物の処理や解毒をしています。また、かゆ状の柔らかい便から少しずつ水分を吸収し、排便しやすい硬さの便を形作っています。口から入った水分と、消化液などの水分の小腸で吸収し残した20%のほとんどが吸収されます。固まった便は出口の少し手前

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