(2 ページから続く)

と反対にKがNaより多く、細胞膜や、腎臓がこの大きな塩分濃度の違いを保つ仕事をしています。ナトリウムは細胞外の水の主な塩分なので、これが増えるとその周囲に水が集まってきます。このため、血中のNaが多いと皮下に行くNaも増え、必然的に水も集まりむくみます。したがって、むくみやすい方は塩分の摂りすぎに気をつけてください。
脂質:図の試験管のてっぺんをご覧下さい。黄色い膜があるように見えます。これが、中性脂肪やコレステロールなどの血管内を流れている油(脂質)です。

お酒をたくさん飲む方、糖尿病の方などから採血した試験管の最上部には膜と言うより層といった方がよいくらい分厚いクリーム状の油が浮いています。これがそのまま血液ドロドロにつながる訳ではありませんが、こんなに大量の油が血管内を流れていては、動脈硬化が進むのもやむなしです。イメージがわかない方には実物をお見せしたいくらいです。通常量ではコレステロールは細胞膜やホルモンの材料として利用され、中性脂肪は体内での貯蔵エネルギーです。血中中性脂肪は移動中のエネルギーです。

血液を流れる老廃物






 ちょっと古風な言葉ですが、体の細胞や成分が使い古されると、分解され一部は再利用され、残りは腎臓や肝臓で処理されて体外へ排泄されます。以下が代表です。
クレアチニン:筋肉のエネルギー供給源のクレアチンリン酸の分解産物で、筋肉の新陳代謝を反映します。腎臓から排泄されるので、腎不全など腎機能が悪化すると血液中にだぶつくため腎機能の指標として測定されます。
BUN:タンパク質の分解産物でクアレチニン同様に腎機能の指標です。ただ脱水や消化管出血など、他の要素により検査結果は左右されます。
尿酸:細胞の核などに含まれるプリン体の代謝産物です。
ビリルビン:赤血球の酸素を運ぶタンパク質であるヘモグロビンの分解産物です。血

液に乗って肝臓へ行き、そこで処理されます。赤血球が壊れたり(溶血)、肝臓や胆嚢、膵臓に問題が起きると血中の値が上がり黄疸となります。
 その他、不要になったホルモンの分解産物など本当に多くの体の成分の老廃物が血液中には流れています。一般に腎臓や肝臓がしっかり働いていれば特に問題はありません。しかし、臓器の解毒処理能力が落ちていたり、老廃物が大量にでる状況のとき、これらの血中濃度は上がってきます。検診時の値に一喜一憂する必要はありませんが、医師から問題がありそうだと指摘された場合は速やかに精密検査を受けましょう。

血液の気体成分

 気体成分には、酸素、二酸化炭素の他様々なものがとけ込んでいますが、主なものは以下です。
酸素:水にあまり溶けないため、赤血球のヘモグロビンと結合し体内にくまなく運ばれます。このため、貧血などでヘモグロビンの量が不足すると酸欠になり、疲労感が高まったり、息切れ、むくみな

ど心不全の症状が出てきます。
二酸化炭素:体の細胞が酸素を使った老廃物として血液へ入り、肺で吐く息として吹き出されます。こちらは水に溶けると炭酸という酸になるため、体の酸とアルカリのバランスをとる働きもあります。仮に体に酸が溜まりすぎて血

(4 ページに続く)

血液細胞と成り立ち | 血液の水溶成分 |
血液を流れる老廃物 血液の気体成分|
イメージ先行の血液性状