尿酸と痛風

 痛風が血清尿酸値の高い方に起こることはよく知られています。事実、発作を起こしている関節から水(関節液)を抜いて顕微鏡で見ると、縫い針のようにとがった尿酸結晶がザクザク見られます。
 核酸と呼ばれる動植物の細胞の核にある、遺伝子の基本パーツである
DNARNAにはアデニン、グアニンというプリン体が含まれています。またこのアデニンは、ブドウ糖のエネルギーをすぐ利用できる形にしたATPや、細胞内での情報伝達物質のc-ATPの重要な構成成分でもあります。このプリン体は食物やアルコールとして体内に入り、消化吸収され、最終的に肝臓で分解されて尿酸となります。尿酸の一部は再利用され、残りは主に尿中へ排泄されます。
 自分の体内の細胞が壊れた時にもプリン体が血液内にこぼれ出て、尿酸値が上昇します。具体的には、大けがをして筋肉を激しく損傷したり、抗ガン剤で自分の体内の細胞を殺そうとした時です。動植物の細胞なら何にでも含まれているプリン体ですので、尿酸値を全くゼロにすることはできません。
 プリン体は主に次の原因で体内で増加します。

@食事やアルコール
 囲みにある食品がプリン体の多い食品です。アルコールは、心臓がドキドキしたり呼吸が荒くなるなど、筋肉の活動を促進します。また、化学工場としての肝臓で活発に分解されるため、肝臓内でのエネルギー需要が増し、
ATPが多量に消費され、尿酸値の上昇を起こします。加えて、つまみとなる食品はプリン体が豊富なものが多く、プリン体の摂り過ぎにつながります。ちなみに、350mlの缶ビールを毎日飲む人は、尿酸値が平均で1mg/dlほど高いことが知られています。
A運動
 エネルギーの利用が増えるため、
ATPが多く消費され尿酸値の上昇が起こります。合わせて、激しい運動は筋肉自体も傷つけるので、核由来、c-AMP由来のプリン体も多量に血液中へ放出されます。
Bその他
 遺伝的要因、肥満やストレスなども尿酸値を上げる原因とされていますが、希だったり曖昧なので、@、Aの本筋から目をそらさないようにしましょう。






プリン体の多い食品
 一般に、肉(赤身、レバー)、魚介類、大豆、キノコなどが多いとされています。また、当然ですが、これらを干したもの(干物、さきイカなど)は、単位重量あたり驚くほどのプリン体を含んでいます。
 これらは、
単位重量あたりの細胞数が多く、これに比例して細胞核の多いことが特徴です。これに比較し、穀物は、デンプン質が多くエネルギーは多いものの、カロリー当たりの細胞が少ないため、核も少なくプリン体の少ない食品です。野菜も細胞分裂が盛んな芽の部分を除いて、一つ一つの細胞が大きいので量の割にはプリン体の少ない食品です。注意しなければならないのは脂肪で、サラダ油のような脂肪だけならプリン体をあまり含みませんが、肉や魚の形で摂ってしまうとプリン体の摂りすぎにつながります。
 まとめると、プリン体の少ない食品は野菜や穀物で、アミノ酸のうま味のある食品はプリン体の多いものだとご記憶下さい。ダシや味の素などの調味料は基本的に少量なので大丈夫です。

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