胸やけ・悪心(胃食道逆流症など)

A) 胃食道逆流症
 GERD(Gastroesophageal reflux disease) は読んで字のごとく、"胃から食道へ逆流する病気"です。先進国ではピロリ菌感染が減ったことから胃・十二指腸潰瘍が減りました。また、メタボなど肥満者が激増したことに伴い、このGERDが増加し、上部消化管(食道・胃・十二指腸)で最も多い病気となりました。
 胃食道逆流症の診断は胃カメラで行われます。食道に明らかな潰瘍やびらん(強い炎症)があるびらん性逆流症と、明らかなびらんの無い非びらん性逆流症
(NERD)があります。前者は、以前から逆流性食道炎と言われているものです。症状は胃食道逆流症に合致するものの胃カメラで見てハッキリとした異常が無いければ後者とされています。
 さて、胃カメラでハッキリするものはわかりやすいのですが、明らかな異常が無い後者は説明しにくいものです。実際、
NERDは逆流症の半分とか、場合によっては70%近くもあると言われています。胃カメラで異常がないとされていますが、よく観察すると、食道裂孔ヘルニアがあったり、食道と胃の境界がほんの少し食道側に食い込んでいたり、検査中よく

ゲップがでたり、検査中に胃液が食道内に逆流しているなど逆流の兆候はよく見られます。
胃食道逆流症の治療
薬物療法
 塩酸である胃酸が食道の粘膜を荒らしたり刺激することが不快な症状の正体です。そこで胃酸分泌を減らせば症状も軽減します。
プロトンポンプインヒビター(PPI)
 オメプラゾール、ランソプラゾール(タケプロン)、ラベプラゾール(パリエット)などです。これらは、胃酸分泌をしっかり抑える薬で切り札的存在です。GERDの激増で世界で最も売れている胃薬となりました。この3つの順は発売された順で、後ほど新しく胃酸分泌抑制効果が強力です。薬の有効時間が長く、どれも1日1回の服用で済みます。
H2ブロッカー(H2RA)
 ラニチジン(ザンタック)、ファモチジン(ガスター)などです。30年近く前に登場し、それまで手術で治療していた胃・十二指腸潰瘍の治療を一変した薬です。その後10数年は世界で最も売れていましたが、最近はより強力な胃酸分泌抑制剤のPPIにその座を譲りました。しかしその効果は色あせておらず、胃食道逆流症の半数近い人に効果があります。






実際的なGERDの診断 1か2が見られる
1.自覚症状:週に1回以上、胸やけか胃 
  酸の逆流を感じる
2.胃カメラ:明らかな逆流性食道炎あり
実際的なNERDの診断
1.週一回以上の胸やけや胃酸の逆流を
  感じる
2.未治療で逆流性食道炎が胃カメラで
  見られない
3.PPI服用で、2の症状が軽減する

B)胃食道逆流症の生活注意
 胃がふくらんだり、圧迫されると逆流が促進されます。また、胃酸分泌を促す飲食もいけません。お腹の内臓脂肪は胃を圧迫する主な原因です。ふくらませない、圧迫しない、食べ過ぎないがキーワードです。

1.減量する
2.お腹を圧迫するガードルやコルセット、
  きついジーンズなどを着用しない。
3.食べ過ぎない
4.高カロリーなもの、ビールなどのアル 
  コールを控える。
5.食べてすぐ寝ない
6.お腹を圧迫する作業を避ける。

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