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俗語である「夏ばて」にはきちんとした定義がありません。そこで、簡単な言葉で夏ばてを言い表すと、夏になり暑気に当たって、@体がだるくなり、A食欲が落ちたり、B意欲がなくなるなど、何となく元気がなくなったり体調不良を覚えることです。時期的には梅雨明けから本格的に暑くなる真夏、そして残暑となる9月中旬くらいまでに起こります。 暑さが夏ばての主な原因ですが、他の様々な要素が加わり、症状も人それぞれです。そこで、もう少し丁寧に定義し直すと「夏の暑さによる環境変化が大きすぎて、対応すべき自律神経が過剰反応を起こしたり、変化に体がスムーズに適応できず、バランスを崩すこと。このため体のあちこちにアンバランスとしての症状が出現します」と言えましょう。 さて、夏ばてを知るには夏に起こる体の変化を知っておかなければなりません。
1)体温調節 体温はおおむね体の筋肉の収縮、震えによって発生します。熱は温水パイプでもある血管を流れる血液が全身に伝えます。個人差はありますが、体内温度37℃、体表温度36℃程度に維持されるよう、自律神経が働いています。体温が下がりそうなら、筋肉の震えなどを誘発して熱を発生し、上がりすぎたら体表の血管を広げて放熱します。不十分なら、汗をかき、その蒸発による冷却を進めます。吐く息からも熱を逃がすことができます。つまり体が熱くなると血管から、
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皮膚から、肺から熱を逃がしているわけです。体が温まりすぎて熱を逃がし切れない場合はどうなるのでしょうか?自律神経が目一杯働き、血管が広がりすぎて低血圧になり体や脳が虚脱します。また、止めどもなく汗が流れると、脱水や塩分不足になったり、呼吸が速く荒くなってハアハアするなどめっきり調子を崩してしまいます。 ここまで読まれて、はたと気がついた方もいるでしょう。実は、夏ばてに関わる多くの症状や問題がこの体温調節の仕組みと連動しているのです。
2)自律神経の過剰反応
日中体を活発に動かすために働く交感神経と、夜間や休息時、食事、排便など体のメインテナンスを行うときに働く副交感神経の2つをあわせて自律神経と呼びます。(すこやか生活6-6)この神経は一つ一つの作業を行っているわけでないため、副交感神経側に傾くと、その神経が司る様々な身体の変化を同時に誘発します。このため、どちらか一方向への症状がまとまって出てきます。例えば、熱を逃がすために血管が広がり血圧が下がったと思うと直接関係のない胃腸がゴロゴロと動き出して落ち着かなくなるなどです。 自律神経は手足を動かす神経と違い、自分の意志でコントロールすることはできません。故に自律(勝手に動く)神経と名付けられています。この勝手な動きの行き過ぎを止めることが夏ばての予防につながります。
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