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コレステロールと中性脂肪

コレステロールまたは中性脂肪が、血液中にだぶついている状態をまとめて、高脂血症と呼びます。しかしコレステロールと中性脂肪は似て非なるもの。今月は各々の違いや特徴を知ってご自分の体を考えてみて下さい。

コレステロール
コレステロールは脳、卵巣、睾丸、肝臓、黄卵などに多く含まれる物質です。体の細胞を包む細胞膜の主成分であるほか、副腎皮質ステロイド、男性、女性ホルモン、胆汁酸そしてビタミンDの材料になり、命をつかさどるためにとても重要な物質です。ところが、血液中のコレステロールが多すぎると血管の壁に貯まって動脈硬化の原因となり、血管内腔をふさぎます。食物中のコレステロールは小腸で吸収され肝臓に入ります。一日0.5g程度が食物由来で体内に入ります。コレステロールは主に肝臓で合成されます。皮膚、腸、副腎、睾丸、卵巣などでも作られ、その合計は一日約1.5〜2gになります。肝臓で作られたコレステロールは他の脂肪と結合してVLDL(very low density lipoprotein)となって血液中に出ます。そして、まわりの細胞に脂肪を与えながらコレステロールを主成分としたLDL(low density lipoprotein)になります。LDLコレステロールは体内の様々な部位にコレステロールを渡す働きをします。LDLコレステロールが多いと血管壁にコレステロールが多量に沈着するため、動脈硬化の元締めとして悪玉コレステロールと呼ばれます。なお、VLDLから中性脂肪だけでなくコレステロールがはがれたものをHDL(high density lipoprotein)と呼びます。HDLコレステ

ロールは、コレステロールを体の各部位から受け取り肝臓に逆転送します。血管壁からコレステロールをはがし取る働きがあり動脈硬化を防ぐため、善玉コレステロールと呼ばれます。以上より、血液中の総コレステロールやLDLコレステロールが増えて、HDLコレステロールが減ると動脈硬化が進むと考えられています。

中性脂肪(TG  トリグリセライド)
食べた中性脂肪は、膵臓のリパーゼという酵素で脂肪酸とグリセロールに分解され、小腸で吸収されます。これらは小腸の粘膜内で再合成され中性脂肪になります。中性脂肪は主に全身の脂肪細胞や肝臓に蓄えられ、エネルギー不足の時は再度血液中に放出されて利用されます。備蓄されたエネルギーというわけです。脂肪酸のうち不飽和脂肪酸のリノール酸、リノレン酸は、肝臓でコレステロールを胆汁中に捨てる働きがあるため動脈硬化を防ぎます。また、アラキドン酸やエイコサペンタエン酸も、様々な体内の活性物質の材料として、とても重要なものです。これらは植物油、魚油に多く含まれています。良い働きの乏しい飽和脂肪酸は動物性脂肪に多く含まれています。中性脂肪は直接動脈硬化を促すわけではありません。また、一部の脂肪酸は動脈硬化の予防効果さえ有ります。しかし、中性脂肪が多くなると間接的に動脈硬化を促進すること、そして中性脂肪の多い食品はコレステロールを多く含んでいることから、積極的に多く食べる必要はありません。中性脂肪に関しては過ぎたるは及ばざるがごとしという食事のスタンスでいて下さい。

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