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B型肝炎やC型肝炎はインターフェロンや抗ウイルス剤の進歩によって、ウイルスを排除したり勢いを弱め、炎症の消火や肝臓ガン発生をある程度予防することが可能になっています。近年のトピックについて簡単にまとめておきます。 B型ウイルス性肝炎 平成20年のガイドラインでは、35歳未満の方は、自然にウイルスが消えたり、毒性の弱い株に変わる可能性があるため、インターフェロンで治療します。対象者はHBe抗原が陽性で、ALT(GTP)が正常上限の2倍程度以上(概ね100以上)の時が効果的と言われています。HBe抗原の陰性化率はおよそ1/3程度です。元々HBe抗原が陰性の場合は、何もしないで様子を見るか、炎症が強い場合などは抗ウイルス剤の使用が考慮されます。 35歳以上ではインターフェロンの効果があまり期待できないので、抗ウイルス剤が選択されます。以前はラミブジンを使用していましたが、年単位の使用によって耐性ウイルスに変化する頻度が高いため、近年は耐性ウイルスが出にくいエンテカビルが第一選択として使用されています。治療効果は、血液中にウイルスが無くなるレベル(肝細胞には潜んでいます)になりALTが正常化する確率が9割近くと、良好です。抗ウイルス剤はウイルスの遺伝子の核酸成分類似の物質で、増殖する過程で遺伝子の鎖に替わりにはまりこんで増殖を止めます。飲み薬でインターフェロンのような辛い副作用が無いため画期的ですが、耐性ウイルスが生まれたり、薬
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を中断すると肝臓の炎症が再燃する問題があります。概ね服用を始めたら一生飲まねばならず、しかも高価な点も問題です。なお、現在は遺伝子レベルの薬の開発ラッシュですので耐性ウイルスが出てくるころには次の有望な抗ウイルス剤が使えるようになっている可能性が高く、耐性株の出現→新薬→耐性株→新薬のいたちごっこはどうやら人類が勝てそうな気配です。 C型ウイルス性肝炎 ウイルスが発見されて20年が経ち、インターフェロンによる治療法もだいぶ進歩しました。現在は週一回のPeg-インターフェロン皮下注射と、リバビリンという抗ウイルス剤の併用が一般的で、効果不良だったタイプ(genotype 1型)でウイルス量の多い方の半分近くがウイルスを消せるようになりました。治療期間も半年から1年に伸び、ぞんぶんに治療できます。 これら従来の治療法に加え、各種プロテアーゼ阻害剤ほか多くの新しいタイプの抗ウイルス剤もでてきています。今のところ単独で決定的な薬はありませんが、Peg-インターフェロン+リバビリンの治療に組み合わせると有望なものはあります。過去にインターフェロン効かなかった方も再チャレンジの機会がありそうです。B型・C型肝炎の新規感染者は減少していますが、現在感染している当事者は一生の問題です。新薬の情報は引き続き追いかけていきましょう。
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