最近の肝臓病事情

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最近の肝臓病事情

 肝機能検査は特定健診を含め、ほとんどの血液検査に含まれています。それは、コレステロールや腎機能検査とともに、生化学検査の中心として研究されてきたためです。ALT(GPT)、AST(GOT)、γ-GTPなどが代表で、皆さんもご存じでしょう。これらの検査によって、多くのウイルス性肝炎の患者さんが発見され、肝炎撲滅に大いに貢献してきました。最近は、献血を含め、人にうつる可能性のあるB型、C型肝炎ウイルスの有無を直接調べることができ、遺伝子検査によってウイルスの亜分類や量まで検出可能になりました。ウイルス性肝炎の治療が進んだことに加え、新たな感染者の発生も希となり、ウイルス肝炎自体の数は大幅に減少してきています。
 ところが、健診やドックなどで肝機能異常(ALTやAST高値)を指摘される方は減るどころか増える傾向にあります。肝機能異常者増えている原因は、NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)が増加しているからです。NAFLDには、肝臓に脂肪が溜まって肝細胞を圧迫しているだけの単純脂肪肝と、線維化が進行し肝硬変や肝臓ガンになる可能

性のあるNASH(非アルコール性脂肪肝炎)があります。アルコールを飲まないのに肝臓に脂肪が沈着する理由は、過食によるカロリーオーバー(肥満)や、糖尿病による代謝異常です。このような人が増えたため、今では成人の1/4が脂肪肝とも言われています。脂肪肝は後述しますが、特定健診(メタボ健診)でメタボやメタボ予備軍が次々と発見され、保健指導を受ける方も増えつつあるので、数年後こそは減少傾向が見られるのではと楽しみです。
 ウイルス性肝炎に対しては、インターフェロンや様々な抗ウイルス薬が出ました。C型肝炎ではウイルスを追い出すことに成功できたり、B型ではウイルスが影を潜め炎症が長期的に治まるなど一定の効果が期待できます。近年はウイルス性肝炎に脂肪肝炎の影響が加わると、よりいっそう肝硬変への進行が早まることもわかってきました。アルコールの悪影響も同様です。肝炎ウイルスを持つ方は、ダイエットを含め、よりいっそう注意深い生活が必要です。






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