食物アレルギーの診断

 食物アレルギーの診断は、臨床症状が一番です。アレルギーの起こったときの状況を事細かに記録しておきましょう。特に食べてからどのくらいの時間で症状が出てきたかが重要です。
 
食物アレルギーの内、もっとも重症なものがアナフィラキシーショックです。息ができなくなるなどの緊急を要する症状に至るまでの時間はおよそ30分と言われています。ちなみにハチにさされたときは15分造影剤なら5分程度です。これらは、体に入った物質がそれと反応する特異IgEと出会いアレルギー反応を起こすまでの時間です。ハチは皮下注射、造影剤は静脈注射なので食物アレルギーより速くショックを起こします。
特異IgE
 アレルギーの原因物質に反応するIgE型の免疫グロブリンです。簡単な血液検査であるため、食物アレルギー以外にも、スギ、ハウスダスト(ほこり)、ブタ草、動物の毛など、鼻炎や喘息の原因物質もまとめて調べることが可能です。
 ただ、この特異IgEも絶対ではありません。例えば卵白に対する特異IgEが高い人がいても、みな卵アレルギーが出るわけではないからです。また、卵アレルギーが明らかにありそうでも、特異IgEが検出されない場合もあります。
 卵、ミルク、ピーナッツ、魚介類(アジ、サバ、エビなど)、小麦、大豆、肉など様々な食品がありますが、特

異IgEの信頼度が高い物は、卵、ミルク、ピーナッツなどです。
食物負荷試験
 アレルギーの原因かもしれない食品を食べてみて、以前起こったアレルギー反応が本当に出るのか確かめる検査です。
 実際のアレルギー反応を起こしてみるわけですので、信頼性の高い検査です。しかし、重症のアレルギー反応が起こると取り返しがつかないこともあるので、やたらと家庭で試すことはお勧めできません。そこで、以前のアレルギー反応がどの程度だったか医師に説明し、よく相談してから行ってください。できれば医療機関で行った方が良いでしょう。
 蕁麻疹その他の皮膚症状、くしゃみや鼻水などの鼻炎症状、セキや喘息などの呼吸器症状、腹痛や下痢などの胃腸症状などが食品を摂取してからどのくらいの時間で出てきて消えるかを、時間を追って観察します。
 なお、アナフィラキシーショックや強い呼吸困難、乳児や特異IgEが極めて高い人は危ないので検査対象にはなりません。






アナフィラキシーショック

 アレルギー反応のうち、もっとも速く起こる即時型のアレルギーをアナフィラキシーと呼びます。具体的には食物を食べて数秒〜数分で、蕁麻疹や皮膚粘膜のむくみや腫れ、セキや喘息、下痢や嘔吐を起こすものです。重症な場合は血圧が下がって心拍数が上がり、意識も失ってけいれんします。ここまで行きますと命が危険になりますので

アナフィラキシーショックと言って恐れられています。
 
日本人に多いアナフィラキシーショックの原因はソバアレルギーです。海外ではピーナッツが有名です。その他、エビや小麦も多い原因食品です。また、食事以外でもっとも多いのはハチ刺されです。

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