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うつ剤や安定剤、逆にたくさん服用している向精神病薬の減量や整理などが有効です。腸を刺激し、ゴロゴロさせて出すセンナ系のプルゼニドなども使われます。
3)絞り出しが不十分
 マヨネーズのように軟らかければチューブを下に向けるだけで絞らなくても出ますが、練りワサビのように硬めなら絞らなくては出ません。絞る力は前から腹筋で押す力と横隔膜を下げる力の協調運動で生まれる腹圧です。寝たきりになって腹筋がそげ落ちた場合や、胃腸の手術で腹筋を切ったため、うまく力が入らない場合が典型です。太りすぎで横隔膜の動きが悪い場合も同様です。
 腹筋に問題がある場合は、鍛えることができる範囲で腹筋を付けてください。横になって上半身をイッチニと起こす腹筋運動だけがリハビリではありません。排便と同様

にいきんでみたり、横になって足を上に上げる程度の運動でも充分です。
 治療は便を軟らかくする薬と、腸を動かす薬が有効です。
4)肛門がうまく開閉しない場合
 典型的なのは肛門付近の直腸癌や、痔の手術後などです。俗に便が細いと直腸癌が疑われると言う話です。確かに癌が便通を邪魔すると肛門がうまく広がらないので便が細くなりますが、ほとんどは便が細くなる前に血便などの症状が出ます。血便は一見痔と紛らわしいので、痔のある方は放置しがちですが、たまには腸に問題がないか調べてみることも大切です。痔の治療で肛門付近が硬くなっている場合はなかなか解決は難しいので、便を軟らかくする薬などでスムーズに出しましょう。






仕組みから見た下痢

1)消化、吸収不良
 消化が悪いと、分子量が大きく吸収できない栄養分が大量に残ります。これは食物繊維のようなもので保水力に富み、水っぽい便の一因です。吸収が悪い場合も食べ物の栄養分が食物繊維と同様に便中に水を溜めて下痢を起こします。消化の場である胃や腸を短く切ってしまったり、消化酵素を分泌している膵臓を膵炎などで痛めてしまった場合も消化吸収不良になります。
 消化剤で消化を助けたり、いっぺんにたくさん食べず食事の回数を増やして少量ずつ食べると良いでしょう。
2)腸からの水漏れ
 腸壁の粘膜から水分や粘液が便へ漏れ出てくることをイメージしてください。正体は腸の炎症です。食中毒やウイルス性の腸炎、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患などが主な原因です。腸から漏れ出てくるものは

水分以外にも、タンパク質、血液などがあります。
 原因となる炎症を鎮めることが根本的な解決法です。炎症を起こした腸管を覆って守るタンニン酸アルブミン、漏れ出てきた分泌物を吸収するアドソルビンなども使われます。
3)蠕動運動の亢進
 腸が動きすぎて起こる下痢です。小腸である程度出来上がった便は大腸で、水分の調整が行われ直腸へと向かいます。ある一定の時間、便が大腸にあると、適当に水分が吸収され適切な硬さの便となりますが、腸の動きすぎで便の大腸での滞在時間が短いと十分に水が吸収されず、軟らかく水っぽい便が出てきます。過敏性腸症候群など、腸を動かす神経が過剰に働いてしまった場合です。
 後述のロペミンや抗コリン剤で腸の蠕動運動を抑えます。

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