すこやか生活

便の出る仕組み

 食べ物は胃腸で消化を受け、栄養は吸収され、残ったカスが大腸へと運ばれます。胃腸、膵臓、胆のう等から腸へ分泌された消化液などの水分も大部分が再吸収され、食べ物のカスと混ざり大腸へと進みます。大腸で便の形を整え直腸へ入り出産です。

排便運動の3ステップ
1)蠕動(ぜんどう)
 大腸全体、特に下行結腸からS状結腸という出口に近い大腸に大きな蠕動という腸の波状的な動きが起こります。ものを食べたり飲んだりすると、この蠕動が始まります。蠕動は、歩行や運動によっても誘発されます。便が直腸まで移動すると、直腸がふくらみ便意を覚えます。

2)絞り出し
 便意を覚えると、腹筋と横隔膜で直腸を強く押し、出口付近へと便は運ばれます。ちょうどマヨネーズのチューブをしぼり出すのと同じです。筋力が弱いと押し出せなくなるのです。
3)肛門の開閉
 肛門の括約筋が緩み、出口が開いて便が出てきます。チューブのフタをはずした状態です。
 この、蠕動、絞り出し、開閉の一連の動きをイメージできたらしめたもの。これら一連の動作のどこかが滞ると便秘になり、行き過ぎると下痢になるわけです。






仕組みから見た便秘

 便秘には様々な原因があります。今回は排便機能と関係した便秘とその解消法を見てみましょう。
1)硬い便になる便秘
 消化、吸収が進み残りカスが便です。この便は、食物繊維、腸内細菌、消化器臓器の分泌物、そして吸収しきれなかった栄養物などでできています。便の水分が少ないとウサギの糞のようにカチカチになります。水分を充分に含んだ便にするためには水を飲むだけでは不充分です。保水力のある食物繊維がタップリ含まれていなければなりません。野菜嫌いなどの偏食は、食物繊維が不足し硬い便のもとです。
 治療としては食物繊維に当たるコンニャクの粉やオリゴ糖、ポリフル、便を水っぽくする酸化マグネシウムなどが良いでしょう。

2)蠕動運動の低下
 蠕動運動がゆっくりになると便が大腸を通過する時間が長くなり、硬くコロコロしたウサギの糞のような便になります。大腸の運動は副交感神経が司っており、これを操っているのが脳です。つまり、腸を動かす脳、神経の働きが落ちると蠕動が低下するわけです。
 自律神経失調など神経の問題、精神的なストレス、脳梗塞など脳の破壊、安定剤など神経をぼかす薬の服用が原因です。旅行などで環境が変わったり、試験や会議などで緊張しても蠕動運動が止まります。痙攣性便秘と呼ばれる腸の筋肉がつって固まってしまう便秘もこの仲間で原因はストレスです。
 便秘の解消には、神経のバランスをとる薬、ストレスの

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