すこやか生活

折れてわかる骨の大切さ

 体の他のパーツと違い、骨はとても丈夫にできています。筋肉や内臓のようにちょくちょく痛みを感じることはありません。この丈夫な骨も、老化や転倒によってポキンと折れれば言うに言われぬ痛みを覚えます。肋骨の骨で3週間、手足の骨なら1ヶ月にリハビリをもう1ヶ月。そして、背骨(腰椎や胸椎)がグシャッとつぶれると骨の痛みだけでなく不自然な猫背を支えるための筋肉痛や腰痛が一生続くこともあります。
 高齢化社会になり、人生50年持てば良かった骨を90年持たせなければならなくなりました。このため、昔は問題になどならなかった骨粗鬆症が現代の筋・骨・関節疾患の中心課題となっています。普段意識しない骨ですが、折

れて痛い思いをしたり、うまくくっつかなかったりするなど、折れてみて骨の有難味がわかったとおっしゃる方が急増中です。
 骨粗鬆症の診断は骨密度を測り、その値が若年成人平均(YAM)の70%未満の方、または70−80%の間でも骨折がある方です。(すこやか生活第4巻−5号参照)これらの方々の骨を少しでも強くし骨折の危険性を減らすことと、骨が脆くとも痛みや運動制限がなく快適に生活できるようにすることが骨粗鬆症治療の目的です。
 この目的を達成するには、まずは予防策を講じ、現在の骨の状況を把握し、必要に応じて薬を使っていきます。






骨粗鬆症の予防

1)若い頃に強い骨を作っておく
 人の骨は20歳頃にもっとも強くなり、その後徐々に骨はやせ細っていきます。減少速度は概ね一定なので、前もって強い骨を作っておくと、徐々に骨密度が落ちてきても骨粗鬆症のレベル(YAM70%未満)より下まで下がりません。
 そこで、10〜20代によく運動し、カルシウム(Ca)やタンパク質を充分とって強い骨を作っておきましょう。現在これをお読みになっている方は、今更ながら当てはまらない方が多いと思いますが、その次、次の次の世代の方に実践していただけるとよいですね。
2)強い骨を維持する
 中高年の方は、若い頃に築きあげた骨をいかに維持していくかが課題です。
 まずは標準体重の維持。肥満は背骨を自分の体重で押しつぶし、圧迫骨折の原因となります。カルシウム、ビタミンD、Kやタンパク質を必要充

分量摂ることも大切です。ただ、カルシウムは若い頃に比べ思ったほど効果がありません。
3)運動
 若い方は、体を作るための比較的強度の強い運動が大切です。いわゆる運動部とか体育会系の運動です。もしこれらの部活に加入していなくても、ジョギングをするなど、ある程度体に重力がかかる運動をしてください。
 高齢者は歩くことが一番です。また、背中が曲がらず真っ直ぐ保てるよう、背筋を鍛えてください。中年の方はこの中間です。
 なお、歩行は、足の筋肉を鍛えたり、バランスをとる訓練にもなるため、転倒防止に効果があり、骨折予防にも有効です。

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