(1 ページから続く)

A声帯が硬くなる場合
 声帯粘膜の炎症や腫れによって声帯が硬くなり、声の振動がうまくいかない場合。声帯の強い炎症を繰り返し徐々に硬くなって動きが悪くなる状態です。声帯の手術などが原因のこともあります。

B声帯は正常でも、共鳴箱に問題がある場合。 
 声帯が正常なので声は出ますが、鼻声や鼻の詰まった感じの特徴的な声になります。鼻詰まりや副鼻腔炎などが代表です。
 これらのどこに問題があり、声が出ないかを確かめていくと、原因になる病気が分かってきます。

よく見る声がれ






  声を出す仕組みに老若男女はありません。しかし、なりやすい病気は様々です。まずは若者から見ていきましょう。
小児の声がれ(嗄声)
 最も多いのは上気道炎(風邪)で喉(声帯)に炎症を起こして声がかれる場合です。これは一時的で、Aに当てはまります。また野球やサッカーなどで大きな声を出し続けた結果、声がかれる学童嗄声と呼ばれるものもあります。
思春期の声がれ
 思春期は男女とも変声期に入ります。第二次性徴とともに喉が急激に大きくなり、それとともに声帯が長く大きく厚くなるので声が低くなります。声の音色が安定するまでに3ヶ月〜1年ほどかかります。
女性の声がれ
 月経前は声帯がむくんだり、うっ血し、粘膜が硬くなりますA。また、声帯筋が緩んで声帯の閉鎖が不十分になります@。歌手など声を使う職業の方にも月経周期に伴って声の変化が見られます。更年期前後では、ホルモンバランスの変化が大きくなるので月経前後と同様に声の問題が起こりやすくなります。更年期が終わると面白いもので、声の男性化が起こり、低音は出しやすくなりますが、高音や弱い声が出にくくなります。

老人の声がれ
 呼吸器や神経の病気、タバコや外傷、声の使いすぎなど、様々な問題を背負っているため声がれも多彩です。稀に喉頭癌などが混ざっているので要注意です。また、一人暮らしで人と話す機会が少なくなると声帯の運動不足が起こり声帯が痩せて、ピッタリくっつかなくなることもあります@。
感染症と声がれ
 インフルエンザも含むカゼ症候群の症状の一部として、咽の痛み、咳などと合併して起こる声がれです。声帯を含む上気道に起こった急性の炎症で、声帯の腫れが起こりA、声帯の閉鎖不全などが合併して声がかれます。声帯の安静と加湿など、環境の改善、うがいなどが有効です。カゼの声がれを繰り返すうちに慢性化して、だみ声が固定してしまうこともあります。昔は結核などもありましたが現在は稀です。
逆流性食道炎
 食道と胃の境の締まりが悪く、胃酸(塩酸)が食道へ逆流することによって起こる食道炎です。この胃酸が寝ている間に食道から咽まで戻ってきてしまい、喉頭や声帯に炎症を起こした結果、声がかれますA。逆流した胃酸を気管の方へ吸い込むと、咳が誘発されて咽を傷める場合もあります。まさに踏んだり蹴ったりですね。肥満者の多い欧米では声がれの最も多い原因が逆流性食道炎と言われており、今後日本でも増えてくる可能性が高いので要

(3 ページに続く)


声のでき方 声がれの仕組み | よく見る声がれ
| ストレスと失声  声帯結節と声帯ポリープ| イガイガムシってどんなムシ?