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赤血球の生産不足と治療

鉄欠乏性貧血
 原因は主に2つあります。一つは出血で、もう一つは鉄分の吸収不足です。出血はその原因を解決しなければなりません。ガンや潰瘍があればその治療を、婦人科的な問題がある場合は必要に応じて、手術、ホルモン療法などを行います。また、閉経年齢に近い場合は手術をせず鉄剤を使うなど一般的な治療でつなぎ閉経を待つこともあります。 鉄分の吸収不足は主に、胃の手術をしたあとの胃酸不足で起こります。また、ひどい偏食やダイエットのゆき過ぎ、神経性食思不振症などで必要な鉄分が摂れていないこともあります。
 さて、出血や鉄分摂取不足はフェロミアなどの鉄剤を服用すれば速やかに解決できます。一般に3ヶ月程度服用し、不足分をギリギリ補うだけでなく少し貯金を作っておく方法がとられます。鉄剤は胃が気持ち悪くなったり便秘をするなど10人に1名くらいの割合で続けられない場合があり、その時はフェジンやブル

タールなど注射用の鉄剤で直接血管内に補給します。胃の手術をした方も体の中の鉄分の貯金を使い果たすと貧血がでます。鉄の吸収不全が原因ですので鉄剤の内服が無効なことも多く、必要に応じて注射などで鉄を埋め合わせます。
巨芽球貧血
 赤血球の作られる過程で、細胞の核が成熟するとき、ビタミンB12や葉酸が必要です。胃を切除してビタミンB12の吸収に欠くことのできない内因子が不足したり、できた癌がB12や葉酸を独り占めする場合、アルコール中毒などで栄養が偏っている場合、また癌の治療で葉酸の働きを抑える抗ガン剤を使っている場合などでこの貧血は起こります。B12不足は消化管での吸収障害を伴っている場合が多いので、注射で補います。葉酸は大概、服用すれば充分吸収し体内に入るので内服で用いられます。胃を切られた方でこの貧血の症状が出てきた場合は定期的にビタミンB12を補ってください。






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