|
|
|
|
|
|
逆流性食道炎は、この20年間で最も増えた上部消化管の病気です。我々の学生時代は教科書にこそ載っていましたが 、ほとんど意識することのない病気でした。そして、胸やけや胃の痛みがあっても検査で潰瘍ができていないと、「気のせいでしょう異常ありません。」と、まともに取り扱ってきませんでした。それどころか異常がないのに痛い痛いと訴えるので、ノイローゼとかうつ病の診断をつけてしまうことすらありました。ところが、胃や十二指腸に異常が無くともPPIやH2ブロッカーなど胃酸分泌抑制剤によってスッキリと症状が取れるので、認知度が赤丸上昇中です。そして思ったよりこの症状に悩んでいる人が多いことからここ数年で治療を始める人も爆発的に増加しています。現在このような症状を感じている日本人は3割近いと言われています。内視鏡で粘膜に炎症、潰瘍が見られる人は全体の10数%で、見かけ上異常のないGERDの人が半数以上であることもわかってきました。増えた原因はなんと豊かになったこと。この病気は欧米に多く発展途上国には稀な病気です。図を見てみましょう。人にとっ
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
て有り難いこと(緑)だった変化が、いつしか困ったこと(赤)にすり替わっています。現在、先進国経済に追いついてきている東アジアの各国も急速にGERDが増えています。症状を押さえるためにPPIやH2ブロッカーを飲めば良いのですが、それでも症状が改善されない場合などは胃酸が逆流しないよう食道-胃のつなぎ目を手術によって構造改革しなくてはなりません。こうなってしまわないように、もう一度豊かさとは何かを考え、食生活の方を構造改革してください。
最後に少し怖い話を一つ。逆流性食道炎が起こると、酸に弱い食道粘膜が酸に強い胃粘膜そっくりに変身します。これをバレット食道と呼びます。バレット食道は胃とそっくりなので日本人に多い胃ガンのそっくりさんがここにできる事があるのです。これをバレット癌(食道腺ガン)と呼びますが、肥満、逆流性食道炎の多い欧米ではこのバレット癌の急激な増加が問題になっています。いずれ、同じ問題が日本にも上陸するのは明らかなので、今のうちから備えておきましょう。
|
|
|
|
|