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意外に多い甲状腺疾患

 日本における甲状腺機能亢進症(甲状腺ホルモンが多すぎる状態)の頻度は、男性0.27%、女性0.2〜0.51%、甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモンが少なすぎる状態)は男性0.24〜0.4%、女性0.7〜0.85%、そして低下症の予備群(先々ホルモンが不足する可能性が高い)が、男性0.68〜3.6%、女性2.97〜5.9%と言われています。言い換えると女性では200〜300人に1人機能亢進症が見られ、20〜30人に1人機能低下症とその予備軍がいることになります。甲状腺は喉仏の少し下にあり、皮フ直下にあるため、ふくらんだり腫れたりしているのが割りによくわかります。もちろん、甲状腺が大きくなくとも

ホルモンのバランスが崩れている場合もあります。甲状腺ホルモンは元気の源のようなもので、その増減によって正反対の特徴的な症状が出ます。喉のあたりに腫れやふくらみを感じたり、後述するホルモンバランスの崩れに合致した症状がある方は、是非そのことをこちらに知らせてください。以前の特集の後に、私は甲状腺機能亢進症に当てはまるようだと言ってこられた方がいて、バセドウ病が見つかりました。病気の発見は医師の専権事項ではなく、第一発見者はあなた自身のこともあります。また、甲状腺の病気は家族発生が多いため、家族歴のある方はご注意を。






甲状腺ホルモンの基礎知識

 甲状腺は主にT4(サイロキシン)と少量のT3(トリヨードサイロニン)を作り血液中に放出します。このT4はホルモンが働く細胞に到達してT3になり、そのT3が細胞の核に入り、DNAに作用して、様々なホルモンとしての仕事をします。甲状腺が作るホルモンの量は脳下垂体前葉で作られるTSH(甲状腺刺激ホルモン)によって調節されています。すなわち、ホルモンの量が少ないと感じたら下垂体はTSHを分泌して甲状腺を刺激し、ホルモンの

生産量を増やすように促します。逆にホルモンが必要以上に多いと下垂体が感じた場合、TSHの分泌が減って、甲状腺にホルモン生産を休むようストップをかけます。これらはフィードバックと呼ばれる仕組みで、下垂体というホルモンの司令塔の下で甲状腺は適正値なホルモンを分泌しています。なお、下垂体は、副腎皮質ホルモン、女性ホルモンなども支配している総合的なホルモン制御のセンターでもあります。

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