肝機能検査の読み方

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LDH---ブドウ糖をエネルギーとして使う場合、一般に酸素を使って燃やしエネルギーを取り出します。しかし無酸素状態でも乳酸という物質を作り無理矢理エネルギーを取り出す道があり、これに関係する酵素がLDHです。エネルギーの代謝が活発な細胞にLDHは多く含まれ、肝臓以外にも筋肉や、心筋、赤血球、そしてガン細胞などに大量に含まれます。肝臓を含め、これらの細胞が壊れた時、血液中のLDH濃度が上がります。
γ-GTP--タンパク質の端っこにあるグルタミン酸というアミノ酸を他へ移し替えて、タンパクを作り替える酵素です。一般に胆汁の流れが悪くなると(胆汁うっ滞)、後述のALPと連れ添って上昇します。肝炎以外でも、胆石、胆管炎、胆道ガンや膵ガンなど、胆汁うっ滞を起こす病気で上がります。また、アルコールを飲み過ぎの人や肝細胞に脂肪が貯まっている人では(肥満、糖尿病など)、この酵素が肝細胞内に増えるため、肝臓があまり壊れていなくてもγ-GTPが高値を示します。
ALP--γ-GTP同様に胆汁の流れが悪いときに増加します。ALPは骨を作る骨芽細胞や胎盤、小腸粘膜などにも多く含まれるため、骨粗鬆症で骨が折れたりつぶれて治る途中や成長期のお子さんでも高値を示します。甲状腺や副甲状腺の機能亢進症でも高値を示す事がよく知られています。

コリンエステラーゼ--肝臓のタンパク合成能に比例します。従って、合成能の低下した肝硬変や慢性肝炎、劇症肝炎、体がひどく消耗している状態では低下します。そして、タンパク合成が活発な腎臓病のネフローゼや栄養過多の脂肪肝などで高値を示します。
アルブミン---血液中に一番多いタンパク質。これもタンパク質の合成能を示しますので、肝硬変や劇症肝炎などでは低下します。また、尿からアルブミンを失うネフローゼでも低下します。
ビリルビン(直接+間接=総ビリルビン)
 赤血球中のヘモグロビンという酸素を運ぶタンパク質が分解されてできる老廃物がビリルビンです。分解されたばかりのものは間接ビリルビンといい、これが肝臓で水溶性の直接ビリルビンに変換され、胆汁中に排出されます。従って、血液細胞が大量に壊れたり、肝臓でうまく変換できない場合は間接ビリルビンが、そして直接ビリルビンへ変換されたあと充分に胆汁中へ分泌できなかったり、胆管が詰まっていてビリルビンが血液中に逆流する場合は直接ビリルビンが増加します。
 上記のビリルビン上昇の仕組み順に、赤血球が壊れてしまう溶血性貧血、Gilbert症候群など体質的に変換機能が低下している場合、肝炎や原発性胆汁性肝硬変を含む肝硬変、胆石胆嚢炎や膵臓癌などです。
アンモニア---タンパク質、アミノ酸の老廃物。肝臓ではアンモニアを尿素に換え、尿素は尿に排泄されます。この変換機能が冒される病気は急性肝炎の重症例や劇症肝炎、進行した肝硬変などです。アンモニアは神経毒なので、肝性脳症を起こし、意識が怪しくなります。






ウナギで肝臓が治るとよいのですが…

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