鎌倉市大船 山口内科 すこやか生活6巻1号

すこやか生活

お酒

  アルコール(お酒)は有史以前より人々の食生活を飾る食材として存在してきました。飲み過ぎると正体を失うため、もてなしの他、様々な陰謀の舞台にも登場してきました。また、飲料や食品としての他、消毒効果や油を溶かす効果も知られていたため、とても神秘的な物質として珍重されていました。このため、一般の人々の口には盆と正月のようなハレの時にしか入りませんでした。この様なアルコールが毎日のよう

に飲める現代は、毎日がハレの日になったような豊かな時代とも言えるでしょう。前記の働きから百薬の長とも言われるお酒も、薬同様飲み過ぎれば副作用が出ます。お酒と言うと肝臓病がすぐ連想されますが、必ずしも肝臓だけが壊れるわけではありません。今回は身近な食品でもあるアルコールの特性を理解して頂くため、お酒に関連する様々な病気や考え方をまとめてみました。


アルコールを科学する

 アルコールは胃腸より吸収されると、門脈という血管を通って肝臓へ向かいます。ここでアルコールデハイドロゲナーゼ(ADH)という酵素で分解処理され、アセトアルデヒドになります。このアセトアルデヒドは肝臓を傷めるなど、毒性を持つ主な物質として有名です。この有害な物質を分解解毒するのがアルデヒドデハイドロゲナーゼ(ALDH) という酵素です。これによってアセトアルデヒドは無害なアセテートとなって処理が完了します。この過程で、アルコールはエネルギー源として使われたり、脂肪に変換され皮下や肝臓に蓄えられます。このADHは胃の粘膜にも存在し、飲んだアルコールの一部は胃で

も分解されます。一般に女性は男性と比較するとアルコールに弱いのですが、胃のADHの量が男性より少ないため、アルコールの処理能力が劣ることが一因と考えられています。
 さて、
アセトアルデヒドは酔っぱらいの人が酒臭く感じる臭いの元でもあります。このアセトアルデヒドは、直接肝細胞に傷害を起こし、肝細胞を風船の様にふくらませてしまったり、脂肪を充満させ油太りに陥らせます。また、この壊れた肝細胞に置き換わるコラーゲン線維というタンパク質を増やし、肝臓が線維だらけになってしまう肝硬変へと誘導します。
 なお、遺伝的に肝臓の

(2 ページに続く)

お酒 アルコールを科学する | アルコール性肝炎と肝硬変
| アルコールに関連する様々な病気
アルコールの種類とカロリー | 慢性アルコール中毒