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4)過敏性肺臓炎
 アレルギー反応で起こる間質性肺炎です。痰の少ない咳、息切れ、熱などが特徴です。夏型過敏性肺臓炎は わが国に多くみられ、夏期に反復して  発症します。発症環境は木造建築のなかでも陽当たり、風通し、水はけの悪い家が指摘されており、アレルギーの素はトリコスポロンというカビで、これを吸入して起こります。治療は基本的に抗原(アレルギーの素)を遠ざけることです。エアコン内部にカビが発生していることが多いので、定期的なエアコン洗浄と内部の乾燥が大切です。また、ステロイドホ


ルモンも使われます。
 その他農夫肺、サトウキビ肺、鳥飼育者肺、空調病、キノコ栽培者肺、コルク肺、鳩飼病、加湿器肺などもアレルギー性の肺臓炎としてよく知られています。治療はどれも同じで、アレルギーの素を遠ざけることと、過剰な免疫反応としてのアレルギーを抑えるためステロイドが用いられます。

5)特発性間質性肺炎
 原因不明の間質性肺炎です。免疫の異常で起こるのではないかと考えられているため、免疫抑制剤やステロイドが治療の中心です。





レントゲンと被曝

 様々な肺炎を紹介しましたが、肺炎診断の決め手はなんと言ってもレントゲンです。聴診その他で肺炎が疑われるときは、速やかにレントゲンを撮ります。咳がなかなか抜けない、息切れするなどの症状が続いている場合、高熱があって咳や痰がひどいときなどです。レントゲンは被曝するため嫌われ者で、「先日健診でレントゲンを撮りましたが、また撮って大丈夫でしょうか?」という質問を

よく受けます。レントゲンで被曝する量は放射線治療などと違って極微量です。胃のバリウム検査を思い出してください。人間ドックのバリウム検査では、20回近くレントゲン写真を撮影します。これと比べても、たった数回の胸部撮影の被曝は微々たるもので、問題になりません。具合の悪いときは被曝の事は心配せず、まずは写真を撮ってみましょう。

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