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こり、上手に飲み込めない場合が多いようです。CTやMRIによって小さな脳梗塞も診断できるようになりましたが、それでもはっきりと断定できない脳梗塞もあります。このような小さな脳の傷などによって、高齢者は徐々に体の働きが悪くなります。痴呆の一部もこのためです。また、神経も鈍感になりますので、誤って気管に小さなものが入っても、大きな咳が反射的にできません。 さて、食事中に咳が出るようでしたら要注意です。食べ物が間違って気管に入っている証拠です。寝たきりで食べると誤嚥しやすいので食事の時は30〜60度程度ベッドを起こすと良いでしょう。また、食べ物はサラサラした液体や、パラパラ細かく散るような刻み
食よりも、少し粘り気のあるゼリー状やペースト状のもの方が誤嚥しにくいようです。ある程度、塊になる方がゴクンと飲み込みやすく、しかも細かいかけらが気管に落ちないので良いでしょう。また、食事の時間は30分程度とし、くたびれ果てないようにすることも大切です。そして食後すぐに横になると胃から食べ物が逆流して肺炎の原因になりますので、30分から1時間程度は体を起こしておくようにしましょう。このあたりは体の機能がまだ未成熟な赤ちゃんと同じですね。
様々な間質性肺炎
冒頭の図をもう一度ご覧ください。間質の炎症によって、肺胞の壁などが分厚くなり、酸素←→二酸化炭素の交換がうまくゆかなくなり息切れがします。咳も出ますが肺胞性肺炎と違って痰はあまり出ません。肺胞と肺胞の間の間質という隙間に炎症を起こす原因は様々です。ここでは代表的なものを紹介します。
1)マイコプラズマ肺炎 マイコプラズマという細菌とウイルスの中間の大きさの病原体に感染して起こる肺炎です。高齢者よりも小児、若年成人など比較的若い人が罹る肺炎です。熱とひどい咳が中心で、あまり痰が出ないのが特徴です。クラリスやミノマイシンなどの抗生物質が治療に使われます。 2)ウイルス性肺炎 インフルエンザウイルス、アデノウイルス、麻疹ウイルスなどひどい風邪をおこすウイルスに感染して肺炎になります。ウイルス感染症なので自然に治ってゆきますが、ひどくならないよう予防接種があるものはきちんとしておくこと大切です。またインフルエンザが流行しているときはその治療薬をきっちり服用し
ておくと良いでしょう。細菌感染による肺胞性肺炎を併発する事もあるので、抗生物質を予防的に使うこともあります。 3)放射線や薬による間質性肺炎 癌の治療、特に乳ガンや食道癌、甲状腺癌など胸や首の癌を放射線照射で治療した後におこります。抗ガン剤やインターフェロンその他の薬による間質性肺炎も有名です。原因が明らかな場合は、その原因を止めること、例えば放射線治療を中止したり疑わしい薬を止めることが必要です。治療は副腎皮質ステロイドが使われます。
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