胃・十二指腸潰瘍の治療薬

 胃や十二指腸の潰瘍は、胃酸(塩酸)で粘膜が傷んでできます。粘膜細胞の剥がれる速度が、細胞の修復の速度より勝り、表面から崩れて掘れる病気です。細胞が剥がれると、血管や神経が露出するので出血したり痛みが出たりします。この潰瘍の仕組みに沿って治療薬の説明をします。

1)胃酸分泌抑制剤
 胃酸の酸度が弱くなると、細胞の障害が軽くなり、再生が勝るので潰瘍は治っていきます。
A)H2-ブロッカー
 ザンタック、ガスター、プロテカジンなどです。胃酸分泌の抑制効果が強く潰瘍がよく治るため、20年ほど前に市販されてから潰瘍の手術はほとんど行われなくなりました。
B)PPI(プロトンポンプインヒビター)
 タケプロン、オメプラールなどです。H2-ブロッカーよりもさらに胃酸分泌抑制効果が強く、ほとんどの潰瘍の痛みもこれを服用して2〜3日で消失します。バファリンなどの消炎鎮痛剤でできた潰瘍にもよく効きます。

2)粘膜保護剤
 アルサルミン、セルベックス、ロノックなどです。粘液の分泌を増したり、粘膜の血流を増やしたりして粘膜の再生を促したり、酸による腐食を軽減します。日本ではよく使われますが、欧米では一部を除いてあまり使われません。

3)痛み止め
 ストロカインなど。胃の粘膜を痺れさせる表面麻酔薬です。






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