5)乳房が腫れたりインポテンツになる
 女性ホルモンのエストロゲンの分解が不十分となり乳房が大きくなったり、男性ではインポテンツ気味になります。

6)血が止まりにくくなる
 肝障害が進むと、血小板が減るだけでなく凝固因子という血を止めるタンパク質の生産も落ち、出血すると止まりにくくなります。血小板が5万以下なら血のでる処置をするとき要注意です。

(2 ページから続く)
3)黄疸の出現
 解毒力が落ちると赤血球の老廃物であるビリルビンという黄色い色素が分解処理されず、皮膚や目が黄色く染まります。肝臓が悪くなると尿が濃くなりますが、これもビリルビンが尿に出るためなので、尿が濃くなったら要注意です。

4)意識がぼんやりする
 体の毒物が肝臓で十分に分解されないと、肝性脳症といって意識障害が起こります。初めのうちは、怒りっぽくなったり軽い不眠症状として出現し、徐々に言動が怪しくなります。ひどいと意識がなくなったりけいれんを起こすこともあります。


肝硬変の3大合併症

 肝硬変は、慢性肝疾患の最も進行した状態です。以下の3つの合併症が命を落とす原因になります。

1)肝臓ガン
 C型肝炎、B型肝炎に感染した、肝硬変や慢性肝炎から発生します。早期に発見できれば、ラジオ波で焼いたり、エタノールで殺す方法など手術以外の体に負担が少ない治療法で済みます。肝臓の状態に応じ、3〜6ヶ月ごとに、定期的な超音波検査を受けることが早期発見の決め手です。
2)肝不全
 肝臓の機能不全による合併症、黄疸、腹水、肝性脳症などが複合的に重なったものです。こちらも様々な薬が進歩したので、相当な部分、内科的に治療できるようになりました。

3)食道、胃静脈瘤の破裂
肝硬変に近づくと、胃腸からの血液が硬くなった肝臓へ流れ込めず、食道や痔の静脈を迂回して心臓へ戻ります。その際に元々細かった静脈の流量が増加するため静脈瘤や痔になります。20年前には、開腹開胸の大がかりな手術しかありませんでした。しかし、この15年の間に内視鏡(胃カメラ)を使った結紮療法(輪ゴムでしばる)や硬化療法が広まり、簡単に治療できるようになったため、食道静脈瘤での死亡率が低下しました。ただ、胃の静脈瘤はまだまだ治療が困難です。お腹に力を入れすぎたり、刺激の強い食べ物をさけることが出血の予防に大切です。また、普段から便の色を観察し黒くなったら出血している可能性があるので要注意です。

急性、慢性の肝臓病 | 慢性肝炎とその症状 | 肝硬変の3大合併症
|
肝臓病の日常生活