2.血圧はなぜ上がるのか?
電気の世界にオーム法則があります。電圧(V)、電流(A)、抵抗(R)との間に、A=V/Rの関係があるというものです。血圧(V')にも血流(A')、血管抵抗(R')との間に同様な関係があります。(A'=V'/R') そこで血圧が上がるにはどうなればよいのか考えてみましょう。上式をV'=A'xR'と書き換えると、血流(A')が増えるか、血管抵抗(R')が増えれば血圧(V')が上がることになります。血流(A')が増えるには血管内の血液量が増したり、心臓のポンプ機能が活発になり体の末梢に
送られる血液の循環量が増加する必要があります。また血管抵抗(R')が増すには、動脈硬化になって血管の柔軟性が落ち、増加した血流量に対応して血管が広がらない場合や、様々要因で、血管を取り巻く筋肉が収縮し、内腔が狭まくなる場合が考えられます。高血圧の治療薬もいろいろありますが、どれも血流(A')や血管抵抗(R')を下げるプロセスを通して血圧を下げるよう、合理的に作られています。
3.なぜ治療が必要か
皆さんなぜ高血圧は治療が必要なのか考えたことがありますか?登山家になぜ山に登るかたずねると、「そこに山があるから。」と、答えたという有名な話があります。しかし、医者になぜ血圧の治療をするのかとたずねたら、「それは、血圧が高いから。」では答えになっていません。血圧は、ポンプの働きをする心臓が血液を全身に送るとき、血流の勢いと、その導管となる血管
の抵抗によって決まります。若い血管は多少いきおいよく血液が流れてきても柔軟性があるため、広がって圧を逃がします。ところが、老齢化した血管は固くなり、圧を逃がすことができず、血圧が上がります。血圧は、その時々の体の状態、心の状態によって変化します。血圧を測ったとき、たまたま高かったが、普段、高くない人は治療の対象になりません。血圧